第266話麗は疲れて眠る 女子たちの会話

文字数 1,079文字

改装された音楽室で突然始まった音楽会も終わり、風呂も終えた麗は自分の部屋に戻った。
そして、またいろいろ考える。

「実に忙しい日だった」
「東京から戻って来て、隆さんの見舞い、それもキーボードも買ったりして」
「戻ってくれば高輪への転居話」
「佳子さんとの顔合わせもあった」
「葵祭りの打ち合わせはともかく、ピアノまで弾いてしまった」

ただ、麗が忙しいのは今日だけではない。
特に九条家に戻ってからは、用事が途切れなくある。

「それでも新しい環境」
「落ち着くまでは仕方ないか、お互いにそうかもしれない」
「それでも湯女と添い寝を断ったのは正解だった」
「一日の中で、ある程度は一人になる時間が欲しい」
「高輪の家に入ったら添い寝があるのだろうか」

そこまで考えていて、麗も結局は疲れていた。
あっと言う間に、眠りに落ちてしまった。


麗が眠りについた頃、茜と蘭と桃香、美里はチャット会話。

「蘭ちゃん、引っ越しお疲れさん」

「はい、いろいろと気を使っていただいて」

「麗ちゃんと大旦那や、いろいろ相談されてな」
桃香
「今度遊びに行く、店にもおいで、うちの店でアルバイトもしたら?」

「え?いいの?がんばります」
美里
「鎌倉にもおいで、江ノ島の海も見せたい」

「ありがとう!憧れていたの」

「それはそうと、麗ちゃんのピアノ、メチャ上手やった、泣けてしもうた」
蘭は、複雑。
「そう・・・田舎の家では、絶対に弾かなかった、だからほとんど聴いたことないの」
美里
「事情は知っているけれど、それは麗ちゃんも蘭ちゃんも辛いよ」
桃香
「高輪の家に押しかけて、みんなで弾いてって言えば弾いてくれるかな」

「桃ちゃん、相変わらず強引や、笑える」
美里
「でも、麗ちゃんは、それくらいでないと、気難しいし」

「ごめんね、悪気はないの、あれで」

「蘭ちゃんが謝ることでないよ、まずは新しい生活に慣れないと」
桃香
「明後日は葵祭?麗ちゃんも?」

「まあ、九条家の後継としては当然、寺社のお偉いさんと、初顔合わせや」

「また仏頂面するのかなあ、あればっかり」
桃香
「いつかは笑わせたい、ほんま」
美里
「今は余裕がないと思う、生活が全て変わって」

「麗ちゃんはともかく、お屋敷では大人気、関係筋も麗ちゃんと話したくてしょうがないみたい」

「田舎にいる時と全然違うよ、田舎の時は他人を寄せ付けないタイプ」
「でも・・・女子は、わかる人はわかったみたい、麗ちゃんの魅力」
桃香
「冷たい顔をして、実は思いやりが深い、それに触れると離れたくなくなる」
「欲しくて仕方なくなる、いい意味でも危険な意味でも」
桃香は、三井芳香の危険な目つきを思い出している。
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