第292話高輪新居

文字数 1,253文字

新幹線は品川に到着。
麗と佳子、不動産の麻友は山手線目黒で、久我山に向かう花園美幸と別れ、都営三田線に乗り換える。

麻友が一応説明。
「高輪の家の最寄りの駅は白金高輪になります」
「世田谷の校舎へは三田線で目黒まで出て、山手線で渋谷、渋谷から井の頭線」
「それから駿河台の校舎には三田線で神保町まで一直線です」

麗はすぐに理解したけれど、佳子は不安な表情。
「都会で・・・はぁ・・・これが東京」
「路線なんて、さっぱりわからん」

三田線の白金高輪に着き、地上に出ると、佳子は目が輝いた。
「まあ、お店が、それも新しいお店が多くて」
「上品で清潔、お洒落な雰囲気です」

麻友も頷く。
「ほんま、寺町の京都とは違う雰囲気で」
「木造が少ない、それもありますね」
「クールな雰囲気、しかし暗くはない」

麗も高輪は初めての場所。
多少は風景を見るけれど、探すのは純喫茶のような一人になれる場所。
しかし、なかなか見つからない、結局、徒歩10分ぐらいで新居に到着してしまった。

麻友は新居の門扉の前で説明。
「外壁も高め、セキュリティのセンサーも完備しています」
「門扉は顔認証、指紋認証で、自動的に開きますが、それは後で登録します」
「今は、パスワードで開けます」
麻友がパスワードを入力すると、門扉は少し重い音、しかしスムーズに開く。

庭に入り、麻友がまた説明。
「庭は150坪くらい、現在は芝と花壇、自動給水設備もあります」

その言葉通り、芝生は緑に輝き、花壇には色とりどりの花が咲いている。
相当の手入れ、整備がなされたのか、麗は麻友の努力と九条不動産の気遣いに感心する。

佳子は嬉しくて仕方がない。
「この芝生のお庭なら、パーティーもできます」
「京都からも、呼んで」
「外壁も高いので、近所に気をそれほど使わなくても」

庭の説明が終わり、住宅に入った。

麻友がここでも説明。
「建坪は75坪ほどになります」
「二人住まいでは広すぎますが、大旦那様たちが京都から来られる際の宿舎にもいたします」
「尚、客間は、8畳のものが、4部屋ございます」
「また、大広間がございまして、50人規模の会議は開催可能です」
「オーディオルームにも使用可能、映画なども大画面、高音質で鑑賞できます」
「もちろんピアノも新規購入いたしました」

その他、キッチン、風呂、トイレなどの水回りは、広々として、明るい。
最新鋭の設備が整えられている。
また、南向きのリビングも20畳程度と広い。
五月の陽光が、華やかに差し込んでいる。

ただ、麗は、それらにはあまり興味がない。
その麗の心理を読んだ麻友は、2階の勉強部屋と寝室に案内。

麻友
「広さは両方とも10畳」
「久我山のアパートから、全て運び込んであります」
「教科書類、パソコン、お洋服まで」
「ベッドも同じものを運びました」

麗は、麻友の手際の良さに、実に感心する。
「本当にいろいろと気を使ってもらいまして」

その麗の手を麻友が握る。
「それから、言い忘れましたが、冷蔵庫に久我山から珈琲豆を運んであります」

佳子の動きも速い。
すぐに1階のキッチンに降り、珈琲を淹れて運んできた。
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