四百三話 地下室で
文字数 2,086文字
「ふうん、これが人肉料理・・・」
「食べる?」
「やめとくわ」
都と倉橋が会話しながら見つめているのはかつて鷹司真理愛と呼ばれていた肉だ。時が流れ、ひろが二年生になった。仲の良い友人達とは全員同じクラスになれたらしい。淳蔵に纏わりついていた真田麻里那とやらは別のクラスになったそうだ。ひろが環境に慣れたら新しいメイドを雇う。それまでの間、地下室は空っぽ。だから都はこんなことを思い付いたのだろう。
「徹底的に辱めてほしい」
そんな言葉を言ってしまったために、俺は今、地下室の檻の中に閉じ込められている。『肉』は服なんて着ない。立てた膝に肘を乗せて座り、ただひたすら時が過ぎるのを待つ。真っ暗だ。
かちゃん。ぎい・・・。
ドアが開いた。俺は慌てて土下座をする。地下室の灯りが点けられた。かつ、こつ、都の靴の音。する、さらり、都の衣擦れの音。沈黙。都はただ俺を見つめて、いや、観察しているのだろう。全裸で土下座している俺を。
「どんな気分?」
「み、惨め、です・・・」
「気持ち良いことしたい?」
「したいです・・・」
「顔をあげて」
「はい・・・」
ゆっくりと顔を上げる。
「フフフッ・・・。直治は『肉』にこんなことしないでしょうけど・・・」
都が服を脱ぐ。珍しい、黒のボンテージ姿。長いペニスバンド。
「さ、舐めて。咥えちゃ駄目よ」
「はい・・・。頂戴します・・・」
都が檻の隙間から鈴口だけを入れる。俺は大きく口を開けてちろちろと舐める。
「良い子ね、直治」
ボンテージ姿の都は刺激が強過ぎる。
「さ、出ておいで。ああ、言われなくてもわかってると思うけど、今の貴方は『人間』じゃないんだから、四つ足で出てくるのよ」
檻の鍵と扉が開けられる。俺は四つん這いで外に出た。
「これ、あげる」
携帯用のローション。
「ごろんして、自分で解しな」
「はい・・・」
仰向けになり、自分で尻の穴を解す。
「ねえ、直治。これ20cmあるの。何cm欲しい?」
「全部欲しいですっ・・・」
「ええ? 即答? 全部欲しいのね?」
「はいっ・・・! 全部欲しいですっ・・・!」
「じゃ、挿れてあげる」
待ち望んでいた快楽に、身を仰け反らせる。
「くああああっ!! ううっ・・・!!」
「乳首弄りたい? 弄って欲しい?」
「いじってっ!! いじってえっ!!」
ぎゅうぎゅうと乳首を潰される。
「ぎっ!? いぃいぃいぃいいいいっ!!」
「あーあ。もう射精しちゃった。このクソマゾ」
「ごっ、ごめんなざいっ! ごめんなざいごめんなざいっ!」
「もっと理性トばしてあげる」
都はにやりと笑うと右手の指をぱちんと鳴らした。右手に筒状のピンク色のおもちゃが現れた。男が自慰をするために使うおもちゃだ。
「気に入ると思うよ。フフフッ・・・」
俺に挿入したままローションをおもちゃに馴染ませると、射精して硬度を幾ばくか失った俺の男根に遠慮も容赦も慈悲もなく絡ませる。ずりゅずりゅにゅぐにゅぐ。脳が焼き切れた。
ふと気が付くと、俺は自分の手を見つめていた。
何度射精したのか、何度尻でイッたのか覚えていない。胸にまで精液が飛んでいてベタベタする。地下室に都は居なかった。いつも『肉』を解体する台の上に俺の服が置いてある。
「ふあ・・・」
欠伸が零れた。寝ていたのではなく気絶していたのだから身体は疲れている。精神は満ち足りていた。質素なシャワールームで身体の汚れを落とし、服を着て地下室を出た。
「何時だ・・・。二時半か・・・」
腕時計を見て独り言つ。自室に戻って寝たいが、淳蔵と美代に嫌がらせをしたい気持ちがむくむくと沸いてきた。今日は水曜日。客も居ない。この時間なら談話室に集まっているはずだ。
「おう、弟・・・。あー、なにしてたんだよお前」
雑誌を読んでいた淳蔵が呆れた顔をする。
「そんなにわかりやすい顔してるのか?」
「顔じゃない。腐った血のにおいがする」
「ああ。地下室で遊んでもらってたんだ」
「地下室ぅ? 特殊性癖過ぎるだろ」
「おかしな性癖のヤツが他のおかしい性癖のヤツを見て『おかしい』って言うのはおかしくはない」
「おかしさがゲシュタルト崩壊するわ・・・」
美代は何故かにまにまと笑っている。
「なんだよ美代。言いたいことがあるならハッキリ言え」
「じゃあハッキリ言います。社長が次に雇うメイドを見つけました」
「また悪巧みか・・・」
「都が嫌う犯罪トップスリー、当ててみ?」
「性犯罪、幼児虐待、動物虐待」
「当たり。まあ長い付き合いだからわかるよね。で、今回は動物虐待でここに来たお馬鹿さんだよ」
「ほう・・・」
「名前は米田小夜。十九歳。自称霊能力者だ。楽しみだね」
妖艶に笑っていても、美代は可愛い。ムカつく男だ。
「動物虐待と自称霊能力者がどう繋がるんだ?」
淳蔵が聞く。
「生贄」
美代が答える。
「うわ、もう聞きたくねえ・・・」
「兄貴、動物好きだもんな」
「別に好きじゃねえよ」
「自覚ないの?」
「ない。初めて言われた」
「直治はどう思うよ?」
「淳蔵は動物好きだろ」
「ええ・・・。そうなの・・・?」
淳蔵は困惑している。新しいメイドの話はそのまま流れ、いつも通り雑談をして過ごし、俺は部屋に戻るとたっぷりと寝た。充実した一日だった。
「食べる?」
「やめとくわ」
都と倉橋が会話しながら見つめているのはかつて鷹司真理愛と呼ばれていた肉だ。時が流れ、ひろが二年生になった。仲の良い友人達とは全員同じクラスになれたらしい。淳蔵に纏わりついていた真田麻里那とやらは別のクラスになったそうだ。ひろが環境に慣れたら新しいメイドを雇う。それまでの間、地下室は空っぽ。だから都はこんなことを思い付いたのだろう。
「徹底的に辱めてほしい」
そんな言葉を言ってしまったために、俺は今、地下室の檻の中に閉じ込められている。『肉』は服なんて着ない。立てた膝に肘を乗せて座り、ただひたすら時が過ぎるのを待つ。真っ暗だ。
かちゃん。ぎい・・・。
ドアが開いた。俺は慌てて土下座をする。地下室の灯りが点けられた。かつ、こつ、都の靴の音。する、さらり、都の衣擦れの音。沈黙。都はただ俺を見つめて、いや、観察しているのだろう。全裸で土下座している俺を。
「どんな気分?」
「み、惨め、です・・・」
「気持ち良いことしたい?」
「したいです・・・」
「顔をあげて」
「はい・・・」
ゆっくりと顔を上げる。
「フフフッ・・・。直治は『肉』にこんなことしないでしょうけど・・・」
都が服を脱ぐ。珍しい、黒のボンテージ姿。長いペニスバンド。
「さ、舐めて。咥えちゃ駄目よ」
「はい・・・。頂戴します・・・」
都が檻の隙間から鈴口だけを入れる。俺は大きく口を開けてちろちろと舐める。
「良い子ね、直治」
ボンテージ姿の都は刺激が強過ぎる。
「さ、出ておいで。ああ、言われなくてもわかってると思うけど、今の貴方は『人間』じゃないんだから、四つ足で出てくるのよ」
檻の鍵と扉が開けられる。俺は四つん這いで外に出た。
「これ、あげる」
携帯用のローション。
「ごろんして、自分で解しな」
「はい・・・」
仰向けになり、自分で尻の穴を解す。
「ねえ、直治。これ20cmあるの。何cm欲しい?」
「全部欲しいですっ・・・」
「ええ? 即答? 全部欲しいのね?」
「はいっ・・・! 全部欲しいですっ・・・!」
「じゃ、挿れてあげる」
待ち望んでいた快楽に、身を仰け反らせる。
「くああああっ!! ううっ・・・!!」
「乳首弄りたい? 弄って欲しい?」
「いじってっ!! いじってえっ!!」
ぎゅうぎゅうと乳首を潰される。
「ぎっ!? いぃいぃいぃいいいいっ!!」
「あーあ。もう射精しちゃった。このクソマゾ」
「ごっ、ごめんなざいっ! ごめんなざいごめんなざいっ!」
「もっと理性トばしてあげる」
都はにやりと笑うと右手の指をぱちんと鳴らした。右手に筒状のピンク色のおもちゃが現れた。男が自慰をするために使うおもちゃだ。
「気に入ると思うよ。フフフッ・・・」
俺に挿入したままローションをおもちゃに馴染ませると、射精して硬度を幾ばくか失った俺の男根に遠慮も容赦も慈悲もなく絡ませる。ずりゅずりゅにゅぐにゅぐ。脳が焼き切れた。
ふと気が付くと、俺は自分の手を見つめていた。
何度射精したのか、何度尻でイッたのか覚えていない。胸にまで精液が飛んでいてベタベタする。地下室に都は居なかった。いつも『肉』を解体する台の上に俺の服が置いてある。
「ふあ・・・」
欠伸が零れた。寝ていたのではなく気絶していたのだから身体は疲れている。精神は満ち足りていた。質素なシャワールームで身体の汚れを落とし、服を着て地下室を出た。
「何時だ・・・。二時半か・・・」
腕時計を見て独り言つ。自室に戻って寝たいが、淳蔵と美代に嫌がらせをしたい気持ちがむくむくと沸いてきた。今日は水曜日。客も居ない。この時間なら談話室に集まっているはずだ。
「おう、弟・・・。あー、なにしてたんだよお前」
雑誌を読んでいた淳蔵が呆れた顔をする。
「そんなにわかりやすい顔してるのか?」
「顔じゃない。腐った血のにおいがする」
「ああ。地下室で遊んでもらってたんだ」
「地下室ぅ? 特殊性癖過ぎるだろ」
「おかしな性癖のヤツが他のおかしい性癖のヤツを見て『おかしい』って言うのはおかしくはない」
「おかしさがゲシュタルト崩壊するわ・・・」
美代は何故かにまにまと笑っている。
「なんだよ美代。言いたいことがあるならハッキリ言え」
「じゃあハッキリ言います。社長が次に雇うメイドを見つけました」
「また悪巧みか・・・」
「都が嫌う犯罪トップスリー、当ててみ?」
「性犯罪、幼児虐待、動物虐待」
「当たり。まあ長い付き合いだからわかるよね。で、今回は動物虐待でここに来たお馬鹿さんだよ」
「ほう・・・」
「名前は米田小夜。十九歳。自称霊能力者だ。楽しみだね」
妖艶に笑っていても、美代は可愛い。ムカつく男だ。
「動物虐待と自称霊能力者がどう繋がるんだ?」
淳蔵が聞く。
「生贄」
美代が答える。
「うわ、もう聞きたくねえ・・・」
「兄貴、動物好きだもんな」
「別に好きじゃねえよ」
「自覚ないの?」
「ない。初めて言われた」
「直治はどう思うよ?」
「淳蔵は動物好きだろ」
「ええ・・・。そうなの・・・?」
淳蔵は困惑している。新しいメイドの話はそのまま流れ、いつも通り雑談をして過ごし、俺は部屋に戻るとたっぷりと寝た。充実した一日だった。