五十四話 独占

文字数 1,868文字

朝食を摂っていると、都と目が合った。にこっと微笑むので、微笑みで返す。


「雅さん」

「はい?」

「今日ね、美代を独り占めしたい気分なの。一人でお勉強してくれるかしら?」

「あっ、は、はい!」


俺は噛んでいたものをごくっと音を立てて飲み込んでしまった。淳蔵が俺を睨み、直治が眉を顰める。千代は気にせずぱくぱく食べていた。平静を装うのがつらい。食事は味がしなくなった。

食事を終え、都の部屋に行くために階段を登る。心臓が破裂しそうだ。呼吸が苦しい。都の部屋に入ると、俺は我慢できなくなって都に抱き着き、押し倒して唇を吸った。舌がにゅるにゅる熱くて気持ち良い。乱暴に胸を揉むと都が甘い声を上げたので、もうわけがわからなくなった。


「興奮したの?  積極的ねぇ」

「都、今すぐ、虐めてほしいっ・・・」

「もっと馬鹿みたいに言って?」


俺は少し息を飲んで、


「みやこさまっ、浅ましい美代を虐めてっ、精液ぴゅっぴゅっさせてくださいっ」


と言った。


「服を脱ごうね」

「はいっ」


俺は破るように服を脱ぐ。都はゆったり脱いで、レースがふんだんに使われた可愛い白の下着姿になった。


「歯を立てながらしゃぶってあげるね」


いきりたった俺の男根に舌を這わせ、亀頭に歯を立てる。


「ひぎぃっ!? ああッ!!」


角度を何度もかえながら歯を立て、そのあとを洗うように舐める。潮か小便かわからないものがどばどば出ているのに、都は気にせず口を放さない。


「あぅっ!! ああああああああっ!! んぐっ!! み、みやごっ!! ううあっ!! も、もう、いっ、」


根元を指でキツく縛られ、思ったように射精ができない。


「ぐああっ!? おおおおおっ!! だ、だめぇ!! いぎだいっ!! いがぜで!! いがぜでよぉ!! じぬっ!! んおおおっ!! じんじゃううううううう!!」


痛い。苦しい。気持ち良い。痛い。苦しい。気持ち良い。痛い。気持ち良い。気持ち良い。気持ち良い。苦しい。気持ち良い。気持ち良い。気持ち良い。気持ち良い。


「あぁあッ・・・!?」


指の拘束が解かれた。

意識が飛んだ。

都の胸が目の前にある。


「あ、起きた?」


都のベッドの上で、都が俺を抱きしめる形で寝ていた。


「み、みやご・・・」

「ん?」

「めっちゃよがっだ・・・」


にっこりと都は微笑んだ。


「ちょっと虐め過ぎたかな? お洋服着られるかしらねぇ」


つんつん、と先端をつつかれ、思わずビクッと反応する。


「ねえ、今度、面白い薬が仕入れられそうなの」

「ど・・・どんな・・・?」

「ある程度、調教というか、開発というか、こなれた身体に向けて作られた媚薬なんだけどね。血液が沸騰しているみたいに身体が熱くなって、敏感な部分をちょこっと触られただけでイっちゃうような薬」


ごくり、と喉が鳴る。


「でもね、この薬の面白いところはそこじゃなくて・・・」


都はにんまり笑う。


「お尻の穴が疼いて疼いて仕方がなくなるのよ」


想像しただけで身体が熱くなる。都は続ける。


「仕事とか、明日のこととか、社会的地位とかなにもかも忘れて、極太のペニスバンドで内臓の位置がかわっちゃうくらい直腸ガンガン突かれて、獣みたいな喘ぎ声あげながらみっともなくお尻で射精したくない?」

「・・・したい」

「楽しみにしててね。じゃあ、お昼寝しようか」


むに、と胸を押し付けられたので、俺は思いっきり顔をうずめた。

翌日。

淳蔵と直治に薬のことを伝えると、二人共顔を真っ赤にしていた。


「馬ッ鹿じゃねえの・・・」

「談話室でする話じゃないだろ・・・」


直治はシャツを引っ張っている。


「俺、尻の穴はちょっと・・・淳蔵の担当だろ・・・」

「なっ、担当じゃねーよ!」

「直治、都の誘いを断るのか?」

「そ、そういうわけじゃ・・・」

「じゃあなんだよ。あの変態おじさんがお前だけ開発してないわけがないし」


千切れそうなほどシャツを引っ張っているので、余程キているのだろう。


「馬鹿になると、都が腰を痛めるくらい、要求するようになるから・・・」

「おやおやぁ? 可愛いですねぇ直治さん。俺よりよっぽど『担当』なんじゃないですかァ?」

「殺すぞ!」


トイレに行って戻ってきた雅が直治の声に吃驚する。


「け、喧嘩しちゃ駄目だよっ」

「喧嘩じゃねえよ!」 


ビリ。


「あっ」


直治のシャツが破れた。直治は一瞬ぽかんとしたあと、顔を盛大に顰めて、ドタバタと慌ただしく談話室から出て行った。


「滅茶苦茶怒ってるじゃん・・・。誰が怒らせたの・・・?」


興奮した時にシャツを引っ張る癖を怒っているサインだと勘違いしている雅が呆れたように言う。


「んー、都かな」


淳蔵が言うと、雅は溜息を吐いて勉強に戻った。
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