七十五話 コルセット

文字数 2,692文字

黒い革のロンググローブ、黒い革のコルセットに、黒のガーターベルト。ヒールが10cmもあるロングブーツ。恥ずかしいところは丸見えなのに、それ以外は着込んでいる状況に、俺はどうしようもなく興奮する。


「美代、確か身長174cmだよね」

「そうだよ」

「淳蔵が184cmだから、丁度淳蔵と同じ高さかあ」

「あー、確かに。あいつ無駄に身長高いなあ」


都は165cmだ。今の俺とは19cm差。いつもとは違う上目遣いが色っぽいし可愛い。俺は少し背を曲げ、都を抱きしめキスをする。


「ねえ、ベッドに腰掛けて足を組んでみてよ」

「いいよ」


俺は言われた通りにする。都は両手を頬に添えて喜んだ。


「うーん、可愛い・・・」

「あはっ、変なおじさん」

「今日はおじさんとお馬のお稽古する?」

「えっ、乗っていいの?」

「いいよ」

「やった」


都は両手にローションを塗り広げると、右手で俺の尻の穴を、左手で男根を弄り始めた。


「あぐっ、ああ! きもちいい! いくっ! いくぅ!」

「えー、早いよ、美代。一回のプレイでイっていいのは五回までって決めてるでしょ? ここで一回、使っちゃっていいの?」

「だ、だってだって! いくっ! むりむりむりっ!」


俺は呆気なく都の手を汚してしまった。


「くううっ、はあっ、はあっ、はあぅ・・・」

「はいはい、お客さん、乗馬体験一回五千円ですよ」

「適正価格なの・・・?」

「フフフ」

「・・・あはは」


都がペニスバンドを装着して仰向けに寝転ぶ。俺はローションを受け取るとペニスバンドにたっぷりと塗り、その上にゆっくりと腰を落とした。


「あっ、ああ・・・!」


ぬちぬちと体温のしない太い塊が俺の身体の中に挿ってくる。


「おおっ・・・。ん・・・。ぜ、全部、挿った?」

「うん」

「ちょっと、待ってね・・・」


俺は自分を抱きしめて呼吸を落ち着ける。覚悟を決めると、都の身体の両脇に手をつき、膝を折り曲げて座る。そして腰を持ち上げ、落とした。ぐちゅ、といやらしい音が鳴る。


「んっ、あっ、あっ!」

「うーん、絶景・・・」

「ばっ、ばかぁ!」


気持ち良い。気持ち良過ぎる。どうしてこんなに気持ち良いんだろう。


「あああっ! ないっ、ぞう、でるぅ! はんああ!」


ぐちゅ、ぬちゅ、ぷちゅ、ぶちゅ、いやらしい音が俺の頭の中でビリヤードの球みたいに頭蓋骨を削る。


「美代、もうちょっと前においで」

「んあっ! は、はいっ!」


俺は腕を前にずらし、都に覆い被さる形になる。都は俺の背に腕を回すと、俺の乳首を思いっきり吸い始めた。


「あああっ!!」

「んー」


吸いついたままベロベロ舐められて、あとが残りそうなほど噛みつかれて、そんなことされたら、腰が、腰が止まらない。


「あふっ! ああんっ! ううっ! みっ、みやこぉ! すきっ! みやこだいすきっ! あいしてるよぉ!」


にゅぐにゅぐと形容し難い音が俺の尻の穴で鳴っている。恥ずかしくて堪らない。


「ぐぅぅぅっ!! あーっ!! ああーっ!!」


あっという間にイってしまった。


「はいはい、とんでもない暴れ馬だったみたいですねえ。あとでお仕置きしておきますねえ。さ、店仕舞いですよお」


都が俺の身体を優しく押してベッドに寝かせ、ペニスバンドを抜こうとする。


「だめだめっ、やめないでえ・・・」


俺は都に足を絡めた。こうするとなんだかんだ絆されて続きをしてくれる。


「じゃあ、正常位で」

「あは! うんっ」


俺はキッチリ五回分、射精させてもらった。


「はあ、はあ・・・」


都がベッドに腰掛け、荒い息をしている。


「はあー・・・。うーん、『童貞非処女』って、えっちな響きだなあ」

「ぷ、あはは。なに言ってんの・・・」

「いやあ、美代がそうでしょ? 淳蔵も直治もそうらしくてさ」

「えっ、そうなの? 淳蔵は経験あると思ってた」

「だよねえ。処女も後生大事に守ってたらしくて、おじさんが貰っちゃってよかったのかな・・・」


ものすッごく下らないことで悩み始めた都を、俺は後ろから抱きしめて耳の裏を舐める。


「ひゃ、ん・・・」

「あはは。俺、明日も仕事があるから帰って寝るね」

「たまには休んでいいのよ?」

「ううん、都のために働いてると気分が落ち着くんだ」

「うーん。そう言われちゃうとなあ」

「じゃ、おやすみ」

「おやすみ」


俺は都の部屋のシャワーを借り、服を着て部屋に戻った。

翌日。

童貞非処女のことを淳蔵と直治に聞いてみた。二人共顔を真っ赤にして、直治はシャツを引っ張っている。


「馬ッ鹿じゃねえの・・・」

「談話室でする話じゃないだろ・・・」

「で、淳蔵、童貞で処女だったのか?」

「お前、性に奔放過ぎるだろ・・・。そうだよ、なんか文句あるか?」

「へえー、直治はそうだろうと思ったけど、意外」

「警察がうるさいから仲間内で『売春するのは十五歳から』って決まってたんだよ。破ってるヤツもいたけどな。咥えたりなんだりで・・・。あー! 思い出させんな馬鹿!」

「成程」

「都もなんでそんなこと教えるんだよ・・・。馬ッ鹿野郎・・・」

「あー、ごめん。俺が疲れさせたからだと思う。4ラウンドぶっ通しはやりすぎた」

「馬鹿美代・・・」

「ほんと馬鹿だ・・・」

「直治、シャツ破れるぞ」

「うるせえ!」


トイレに行っていた雅が戻ってきた。


「また喧嘩?」

「うん、都のせいでね」

「そーですかはいはい。美代、続き教えて」

「わかった」


今、雅の勉強は、学校のテスト勉強が六割、パソコンの使い方が四割になっている。


「うーん、お前、飲み込みは大分良くなったんだけど、タイピングが遅いなあ」

「だってえ、ただでさえ指が絡まっちゃいそうなのに、指が短いんだもん・・・」

「そうだな」

「ちょ、『そんなことないよ』って言うのが女の子に対するマナーでしょ!」

「・・・雅、怖いのは平気か?」


直治が聞いた。


「えっ、あ、あんまり・・・」

「昔、都が買ってくれたタイピングゲームがある。取ってくるからそれで練習しろ」


直治は談話室を出て、戻ってくる。


「『The typing of the Dead』?」


雅のパソコンにセットし、ゲームを始める。


「うわあ! ゾンビキッモ!」

「お前にやるよ。寝る前の十分間、練習するだけでも違ってくるから、頑張れ」

「ありがとう!」

「じゃあ俺は戻る」

「おー」


直治は事務室に戻っていった。


「雅、今日の残り時間はそれやってていいぞ。俺は仕事に戻る」

「わかったあ」

「じゃ、俺も戻るかね」


カチャ、カチャ、と雅がキーボードを叩く音がする。


「ふーっ・・・」


俺は出て行ってほしいが、出て行くと都が寂しがる。複雑だ。まあ、時々帰ってくると言うのだし、長生きするよう祈ってやらんこともない。


「頭、踏まなきゃよかったかも」


ぽつりと呟いて、そんな自分に苦笑した。
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