百八十五話 ほんと馬鹿

文字数 1,923文字

『淳蔵ちゃん、ママに『お詫び』させてくださいな。なんでもしますよ』

『下準備して行きます』


そう即答してしまって、俺は頭を抱えた。『下準備』をしたあと、着替えてから都の部屋に向かう。

こんこん。


『どうぞ』


部屋に入って鍵をかける。


「都」

「うん?」

「詫びるのは俺の方」


服を脱ぐ。都は目を真ん丸に見開いた。蝶の装飾がされた、透け透けのレースのベビードールと、Tバックの下着。真っ赤でいやらしいコレは、都が俺に着せるために特注したものだ。都に頼み込まれて一回だけ着たものの、恥ずかし過ぎたので都から取り上げて封印していたものである。


「遊んでくださるんでしょ、おじさん?」


裾を抓んで持ち上げ、開く。勃起しかけた男根と膨らんで持ち上がった睾丸が、薄いレースの中に閉じ込められて、苦しい。


「うーん、おじさん、興奮して鼻血が出ちゃうかも」

「早くご奉仕させてよ」

「ンヘヘ・・・わっかりましたぁ・・・」


二人で寝室に行く。都は服を脱いで白い下着姿になり、ペニスバンドを装着して、ベッドに腰掛ける。俺は都の足の間に跪いて、ペニスバンドの先端に口付けた。そのまま、ちゅ、ちゅ、と唇を這わせ、下品に舌を突き出すとねっとりと舐め上げる。


「・・・これが本物だったらなぁ」


都が悔しそうに言うので、俺は笑ってしまった。


「逆流して口から出るほど注ぎ込んであげるのに」

「おっかねえ」

「口の悪いお嬢さんですね」

「あら、ごめんなさい」


先端を咥え、根元まで喉に押し込む。ぢゅっぽぢゅっぽと音を立ててしゃぶった。都の顔がいつもより赤い。興奮し過ぎている。


「ん・・・、都、顔赤いぞ」

「黙って続けろ」

「・・・はい」


じゅぽぽ、じゅるちゅぽぽ、汚い音が鳴る。俺が鳴らしているのかと思うと、恥ずかしくて堪らなかった。


「ん、はぁ・・・。おじさん、上に乗って腰振ってあげるよ」


都はローションを取り出して俺に手渡すと、ベッドに寝転ぶ。俺はそっと跨って、ペニスバンドにローションを丁寧に塗ると、挿入するところが都に見えるように身体の後ろに手を回して、ペニスバンドを掴んだ。


「おっきいね、おじさん」

「淳蔵ちゃんのよりね」

「興奮しちゃうよ・・・」


ぴと、と先端を尻の穴にあて、腰を落とし、ぐいぐいと挿入する。


「はあっ、う・・・。あっ、あ・・・」


苦しいのに、物凄く気持ち良い。


「うっ、動かないでねぇ・・・」


ずちょっ、ぐぽっ、ぷじゅっ、派手な音が鳴る。


「あっ、あっ、淳蔵ちゃんのっ、中にっ、いっぱいっ、ぴゅっぴゅって、してねっ」

「あんま煽っちゃ駄目だよ淳蔵ちゃん」

「あはっ、ふっ、うう、ん、んっ・・・!」

「美人だねえ、淳蔵ちゃん。いつ見ても綺麗な髪だね」

「あっ、うううっ!!」


髪を褒められた瞬間、尻の穴がきゅっと締まって、勝手に身体が反応する。


「白い肌と射干玉の髪に赤いレースが映えて、本当に綺麗・・・」


都は身体的快楽は感じていないはずなのに、本当に気持ち良さそうな顔をしていた。


「いっ、イきそうっ!」

「手伝ってあげようか?」

「だめっ、ああ、ん、じっとしてて! お、俺が、一人でっ!」


都に見られていると思うと、羞恥が理性になってイくことができない。だから、目を閉じて音に集中した。ぱちゅっ、ぱちゅっ、肌を叩きつける音と、粘り気のある水音が混ざって鼓膜に響く。もっと惨めに、惨めな気持ちになりたい。デカい身体をしているくせに、セックスに誘うためのいやらしい服を身に纏って汗を吸わせて、張形をつけた女に乗っかって自分から腰を振っている。あられもない声を上げて、尻の穴をぎゅうぎゅうに締めながら快楽に耽っている。俺は男なのに。


「あっ、あ! イく! いっ、いっちま、ああっ! あああぁああっ!」


身体が勝手に仰け反る。一切触られていないのに、俺は男根から精液を飛ばした。


「おお、めっちゃ飛んだね」

「はあっ・・・はあっ・・・はあっ・・・」


震える身体を引き摺り上げて、ペニスバンドを抜く。


「次はこっちね・・・」


身体の向きを反対にして、ゆっくりと腰を下ろす。


「あぐっ・・・! お、おお・・・」


腰を振る。髪がさらさらと揺れた。


「お、おじさん、たのしんでるっ?」

「うん。二週間寝込んだ甲斐があったよ」

「馬鹿!」

「エヘヘ、ごめんごめん・・・」

「なっ、なんでそんな、馬鹿なんだかっ! 全く!」


怒りながら腰を振る。間抜けな姿だ。


「許してよー、淳蔵ちゃん。あとでお尻の穴が元に戻らなくなるぐらいガンガン突いてあげるからさ」

「ばっ、馬鹿! ほんと馬鹿!」


都が笑う。なんで笑った声がこんなに可愛いんだろう。ずっと笑っていてほしい。


「馬鹿だよ、ほんとに・・・」


後ろを向いていて良かった。怒りながら泣きながら腰を振ってるなんて、間抜け以上の言葉が見つからなかった。
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