第228話 伊豆の踊子
文字数 1,322文字
「俺は本当に幸せだよ。愛してるよ。最後までしたら少しは収まると思っていたけれど、収まらないな、する前の何倍も愛してるよ」
「ああそう」
二人でベッドに寝ていた。彼が髪を撫でながら熱心に愛を語っているのをウトウトしながら話半分に聞いている。
「亜紀眠いの?」
「何か慣れないことしたからダルイ、眠い」
「俺が真剣に愛を語ってるのを話半分に聞きやがって」
その瞬間、私の瞳孔が開いた。
「あの一言のせいでこの人誰にも調子よく同じこと言ってんだって思っちゃうよね。だから話半分に聞いてるの!」
「他の女には終わってから愛を語ってない、すぐ帰る。一緒に寝ない、これだけは信じて」
その時カラクリ時計が軽快な音楽を鳴らして午後十時を知らせた。もういいや、こんな時に怒るのは止めよう。悲しそうな彼の目を見つめて微笑んだ。
「ねぇ、今十時だよ、あの予定何だったの?」
彼は私が機嫌を直したことを察してすぐに調子づく。
「亜紀のエロい体のせいだから、ちょっと脱がそうかなって思ってたら予想以上にエロかったからもう止められなかった」
「エロいって何?もっと言い方あるでしょ?」
「S級単体女優!」
「それ智に座右の銘は?って聞くと答える言葉なんだけど!」
「……あーもう絶対他の男に見せないし触らせないから。俺のだから」と彼がまた体を触って来たので「だから、そんな事しないって」と笑った。
「十年前だったら今からもう一回できたのにな」
彼はまだ何かブツブツ言っている。
「ねぇそろそろ服着てもいい?さっきシャワーも浴びたし寒いんだよね」
そう聞くと彼は「駄目!裸で寝るのが楽しいんだよ。寒いならもつとこっち来て」と抱きしめてきた。
「これで寒くない?」と聞かれたので頷いた。しばらくして「重ちゃんあったかいね」と言ってしまい、「あっ」と気がついてしまった。
一ヶ月前に彼はアパートのベランダでこう予言していた。
「俺に抱きしめられながら機嫌良く眠る亜紀が容易く想像つくよ。「重ちゃんあったかいね」とか言ってそう」
本当にやってしまった。
彼は「ほら言った」とヒッヒッと笑っている。「何でこんなわかりやすい馬鹿なんだろう」と言うと「弟ほどじゃないよ、大丈夫」と馬鹿にされた。
「あいつと一緒にしないでよ」そう叫びながら布団を被った。
「また拗ねちゃった。わかりやすい方がいいだろ?若い時は駆け引きのスリルが楽しかったけど、もうそういうの疲れるんだよ。今まで通り真っ直ぐで穏やかな愛情をずっとちょうだい」
布団から顔を出して「おじいちゃんみたいな事言ってるよ」と言うと「まだおじさんだから、とにかく抱きしめられて機嫌よく寝るターンだから寝て、もう若くないから眠くなってきた」
彼に抱きしめられながら、寝たふりをして考える。
真っ直ぐで穏やかな愛情をずっとちょうだいか。でも結婚しない子供もいらないって言ってるじゃん。
さっき調子に乗って責任取って結婚って言ってる時に約束させれば良かったかな、でも両親のことがあるから責任取って結婚されるのはトラウマ級に嫌だ。
知り合って日も浅いから、将来のことはまだ考えなくても大丈夫という言い訳が今日から使えなくなってしまったような気がする。
思い悩む種が減ったと思ったのにまた増えてしまった。
「ああそう」
二人でベッドに寝ていた。彼が髪を撫でながら熱心に愛を語っているのをウトウトしながら話半分に聞いている。
「亜紀眠いの?」
「何か慣れないことしたからダルイ、眠い」
「俺が真剣に愛を語ってるのを話半分に聞きやがって」
その瞬間、私の瞳孔が開いた。
「あの一言のせいでこの人誰にも調子よく同じこと言ってんだって思っちゃうよね。だから話半分に聞いてるの!」
「他の女には終わってから愛を語ってない、すぐ帰る。一緒に寝ない、これだけは信じて」
その時カラクリ時計が軽快な音楽を鳴らして午後十時を知らせた。もういいや、こんな時に怒るのは止めよう。悲しそうな彼の目を見つめて微笑んだ。
「ねぇ、今十時だよ、あの予定何だったの?」
彼は私が機嫌を直したことを察してすぐに調子づく。
「亜紀のエロい体のせいだから、ちょっと脱がそうかなって思ってたら予想以上にエロかったからもう止められなかった」
「エロいって何?もっと言い方あるでしょ?」
「S級単体女優!」
「それ智に座右の銘は?って聞くと答える言葉なんだけど!」
「……あーもう絶対他の男に見せないし触らせないから。俺のだから」と彼がまた体を触って来たので「だから、そんな事しないって」と笑った。
「十年前だったら今からもう一回できたのにな」
彼はまだ何かブツブツ言っている。
「ねぇそろそろ服着てもいい?さっきシャワーも浴びたし寒いんだよね」
そう聞くと彼は「駄目!裸で寝るのが楽しいんだよ。寒いならもつとこっち来て」と抱きしめてきた。
「これで寒くない?」と聞かれたので頷いた。しばらくして「重ちゃんあったかいね」と言ってしまい、「あっ」と気がついてしまった。
一ヶ月前に彼はアパートのベランダでこう予言していた。
「俺に抱きしめられながら機嫌良く眠る亜紀が容易く想像つくよ。「重ちゃんあったかいね」とか言ってそう」
本当にやってしまった。
彼は「ほら言った」とヒッヒッと笑っている。「何でこんなわかりやすい馬鹿なんだろう」と言うと「弟ほどじゃないよ、大丈夫」と馬鹿にされた。
「あいつと一緒にしないでよ」そう叫びながら布団を被った。
「また拗ねちゃった。わかりやすい方がいいだろ?若い時は駆け引きのスリルが楽しかったけど、もうそういうの疲れるんだよ。今まで通り真っ直ぐで穏やかな愛情をずっとちょうだい」
布団から顔を出して「おじいちゃんみたいな事言ってるよ」と言うと「まだおじさんだから、とにかく抱きしめられて機嫌よく寝るターンだから寝て、もう若くないから眠くなってきた」
彼に抱きしめられながら、寝たふりをして考える。
真っ直ぐで穏やかな愛情をずっとちょうだいか。でも結婚しない子供もいらないって言ってるじゃん。
さっき調子に乗って責任取って結婚って言ってる時に約束させれば良かったかな、でも両親のことがあるから責任取って結婚されるのはトラウマ級に嫌だ。
知り合って日も浅いから、将来のことはまだ考えなくても大丈夫という言い訳が今日から使えなくなってしまったような気がする。
思い悩む種が減ったと思ったのにまた増えてしまった。