第46話 ちゃんとした場所
文字数 1,521文字
丸山さんが家に来た翌日、「電話番号教えて」とメールが来て教えると、毎日電話がかかってくるようになった。
私は大分おかしくなってきている。彼に会いたいし、彼の声が聞けるとホッとするのだ。
健の「やめとけ」という忠告は私の心に門前払いされた。長年一緒に暮らしてきた家族の言葉よりも、知り合って一ヶ月ちょいの男の言うことを間に受けてしまっているこの現状。
でも、もう一人の自分が危機を感じ、必死に閉ざした心に囁いている。
「健の言う通りだから、本気になるなよ、好きになるなよ」
休むことなく一日中甘い夢みがちな自分に言い聞かせてくれている。
けれども私はオヤツを与えられた犬のように、丸山さんからの電話に喜び勇んてでてしまった。
「もしもし、丸山さん、本当はあの日お休みの日だったんですね、それなのに登山連れてこられて災難でしたね」と言うと
「朝、亜紀ちゃんに会うまでは滅茶苦茶に機嫌悪かったからな」と彼は笑った。
「前日の夜、お店って何のお店に行ってたんですか?もしかして」私が言いかけたのを、遮るように彼は焦った。
「あんなこと言わなきゃ良かったよ、俺も放送見ててまずいなって思ったんだよね」
丸山さんが何かを誤魔化そうとしていたけれど、どうしても聞いてみたかった。
「如何わしい店に行ってたんですか?」
「…そこしつこく聞いてくる?」
「気になるんです、本当にそういうお店に出入りしてるのかなって」
何故だか彼はカッコいい台詞でもいうかのように語尾を強めてこう言い切った。
「亜紀ちゃんが俺と○○○してくれるんだったら、俺は店行くのきっぱり辞めるから!」
「やっぱり行ってるんでしょ?○○○って何入るの?」そう言って私は笑って誤魔化した。
「○○○は魔法の言葉で聞く人によって色んな言葉が当てはまるんだよ」
丸山さんが意味不明な理屈を捏ね出したので、何故だかわからないけれど、自分の口が勝手に変な切り返しをしてしまった。
「何か夢がありますね」「夢?!」
失敗した、流石の丸山さんも戸惑っている。何か話題を変えよう。
「あっそういえば、北澤さんの捻挫大丈夫ですか?」
「次の日会ったら普通に歩けてたよ、あいつ登山俺に押し付けたから、絶対俺怒ってると思ってたみたいで会ったらビクビクしてたよ」
「どの程度怒ったんですか?」「怒ってないよ、有難うな、捻挫してくれてって言ったよ」
「それ余計怒ってるみたい」そう笑うと「あいつに「怒ってない、感謝してる」って言ってんのに「本当にごめん」って3回ぐらい言ってきたよ」と彼も笑った。
「北澤さんって何か凄くいい人ですね、どこで知り合ったんですか?養成所みたいな所ですか?」
「引っ越し屋のバイトでたまたま一緒な現場になったんだよね、それでその日のうちに俺こいつとコンビ組もうと思って。
その時、北澤は北海道帰ってじゃがいも農家継ぐ事決まってたんだけど、2ヶ月かかって口説き落とした。そのせいで俺未だに北澤の両親に恨まれてるけどな」
「何か運命的ですね、北澤さんのどこを見てコンビ組もうって思ったんですか?」
「正直言って勘だよ、実際組んで見たらアイツ、ボケもできるしツッコミもできるし頭もキレるし予想以上に有能なんだよね」
「北澤さん有能なのに、性格もいいっていい人見つけましたね」
「でもあいつ有能で性格もいいけど、馬鹿だから。自分で作った落とし穴に嵌るくらいの馬鹿」そう言って彼が笑った。
結局一時間ぐらい丸山さんと電話してしまった。丸山さんと話してたら凄く楽しいし、時間を忘れてしまう。
日に日にどうかしていってる自分がいる。
私は大分おかしくなってきている。彼に会いたいし、彼の声が聞けるとホッとするのだ。
健の「やめとけ」という忠告は私の心に門前払いされた。長年一緒に暮らしてきた家族の言葉よりも、知り合って一ヶ月ちょいの男の言うことを間に受けてしまっているこの現状。
でも、もう一人の自分が危機を感じ、必死に閉ざした心に囁いている。
「健の言う通りだから、本気になるなよ、好きになるなよ」
休むことなく一日中甘い夢みがちな自分に言い聞かせてくれている。
けれども私はオヤツを与えられた犬のように、丸山さんからの電話に喜び勇んてでてしまった。
「もしもし、丸山さん、本当はあの日お休みの日だったんですね、それなのに登山連れてこられて災難でしたね」と言うと
「朝、亜紀ちゃんに会うまでは滅茶苦茶に機嫌悪かったからな」と彼は笑った。
「前日の夜、お店って何のお店に行ってたんですか?もしかして」私が言いかけたのを、遮るように彼は焦った。
「あんなこと言わなきゃ良かったよ、俺も放送見ててまずいなって思ったんだよね」
丸山さんが何かを誤魔化そうとしていたけれど、どうしても聞いてみたかった。
「如何わしい店に行ってたんですか?」
「…そこしつこく聞いてくる?」
「気になるんです、本当にそういうお店に出入りしてるのかなって」
何故だか彼はカッコいい台詞でもいうかのように語尾を強めてこう言い切った。
「亜紀ちゃんが俺と○○○してくれるんだったら、俺は店行くのきっぱり辞めるから!」
「やっぱり行ってるんでしょ?○○○って何入るの?」そう言って私は笑って誤魔化した。
「○○○は魔法の言葉で聞く人によって色んな言葉が当てはまるんだよ」
丸山さんが意味不明な理屈を捏ね出したので、何故だかわからないけれど、自分の口が勝手に変な切り返しをしてしまった。
「何か夢がありますね」「夢?!」
失敗した、流石の丸山さんも戸惑っている。何か話題を変えよう。
「あっそういえば、北澤さんの捻挫大丈夫ですか?」
「次の日会ったら普通に歩けてたよ、あいつ登山俺に押し付けたから、絶対俺怒ってると思ってたみたいで会ったらビクビクしてたよ」
「どの程度怒ったんですか?」「怒ってないよ、有難うな、捻挫してくれてって言ったよ」
「それ余計怒ってるみたい」そう笑うと「あいつに「怒ってない、感謝してる」って言ってんのに「本当にごめん」って3回ぐらい言ってきたよ」と彼も笑った。
「北澤さんって何か凄くいい人ですね、どこで知り合ったんですか?養成所みたいな所ですか?」
「引っ越し屋のバイトでたまたま一緒な現場になったんだよね、それでその日のうちに俺こいつとコンビ組もうと思って。
その時、北澤は北海道帰ってじゃがいも農家継ぐ事決まってたんだけど、2ヶ月かかって口説き落とした。そのせいで俺未だに北澤の両親に恨まれてるけどな」
「何か運命的ですね、北澤さんのどこを見てコンビ組もうって思ったんですか?」
「正直言って勘だよ、実際組んで見たらアイツ、ボケもできるしツッコミもできるし頭もキレるし予想以上に有能なんだよね」
「北澤さん有能なのに、性格もいいっていい人見つけましたね」
「でもあいつ有能で性格もいいけど、馬鹿だから。自分で作った落とし穴に嵌るくらいの馬鹿」そう言って彼が笑った。
結局一時間ぐらい丸山さんと電話してしまった。丸山さんと話してたら凄く楽しいし、時間を忘れてしまう。
日に日にどうかしていってる自分がいる。