第36話

文字数 919文字

「五年前というと今の学校に移ってきたばっかりでバタバタしてたから、全然知らなかった。

あぁそう言えば、この前も五年前とか何とか。なんか聞いちゃいけないこと聞いちゃったみたいでごめんなさい」

「いや、WWikipediaに全部出てるから全然大丈夫。なんでも聞いて」彼は優しく笑った。


「本当に聞いてもいいんですか?」「うん」「何したんですか?」「ストレートだね」と丸山さんは笑った。

「いやあ、早い話が女に騙されたっていうか、ちょっと今WWikipediaで俺の名前調べて」

私は言われた通りに「丸山重明」と入れると上原の話が本当に出てきた。

それによると5年前の四月にグラビアアイドルA子さん(現在は引退)と妊娠騒動を起こし一ヶ月の謹慎処分を事務所から下された。

「えっ?」と思わず丸山さんを見ると「普通の人はまずそういう反応するよな、これフェイクニュースだから」と苦虫を噛み潰したような顔をした。

「どういうことか聞いてもいいんですか?」とおそるおそる聞いてみた。

「俺その子と二人きりになったことがまずない。飲み会で会って軽く飲んだだけ」

「えっ、じゃあ何で謹慎なんですか、それでいいんですか?」

丸山さんは私を見て優しく笑った。

「俺の言い分を一回で信じてくれて嬉しいよ」「だって嘘ついてるように見えないし…」と言うと

「あれだよ、ちょっと有名な奴に美人局仕掛けて自分の名前を残そうとする奴」

「だって、丸山さん無実なわけですよね?何で?それでいいんですか?」

「こう言う時は証拠が無くても相手の証言だけで女が正義、男が悪ってことになるんだ」

悲しそうな丸山さんをみて、私も必死に次の言葉を探した。

「…校長先生が男の先生達に「女子児童と二人きりにならないように」って口を酸っぱくして言っててセクハラの冤罪かけられたらもう真実は証明できないから、絶対付け入る隙を見せるなって」

「学校でもそうなんだ、校長先生の言う通り付け入る隙見せちゃいけないよな。俺もその時に事務所の社長に言われたよ。

俺はお前を信じているけれど、世間はお前を信じてない。原因はお前の普段の生活態度と全ての言動だって」

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