第296話 同窓会

文字数 986文字

違う女の子が終わったと思った丸山さんの噂話をまた始めた。

「あの人最近話題だよね、数年前に美人局されたとか何とかで」

「あの人めっちゃキツイ女と付き合ってるんでしょ?」

「見た見た、あの人がキャーキャー言われた頃の巻頭グラビアの雑誌、キモいの集大成って言うんでしょ?キツイよね」

その場に笑いが起こったけれど、私は目眩がして倒れそうだ。

彼の狙いは見事に成功した、美人局のことよりキツイ彼女と付き合っていることが話題になっている。

先生が「確かにあの雑誌は気持ち悪いよな」とポツリと言うとみんなが「先生もそう思うんですか」と笑った。

まだ丸山さんの話題は終わらない。あれだけ朝も昼も夜もニュースで流されたら、みんな気になるよね。

「美人局やられた女のこと恩人って呼ばせる彼女ってきついよね」
「爪切らせるってどういうこと?キツイにも程があるよね」

こんなにみんなからキツイ女と噂され、もう立ち直れない、落ち込んでいる私を見兼ねてか先生がフォローを入れてくれた。

「きつく言わないとわからない奴っているから」

すると下ネタ好きの春子が酔っ払ってこんな事を言い出した。

「あの人年末年始の番組で、お気に入りの夜のお姉さんに「普通、すごく普通」って言われてたよね。女慣れしてそうなのに普通なんだ。色々普通なんだろうね」

お酒も入ってることもありみんなが爆笑した。

自分のことじゃないけれど、恥ずかし過ぎて立ち直れない、先生も私と同じ気持ちのようで顔がかなり引きつっている。

確か天川くんという名前の男の子が追撃する。

「この間、車であの人のラジオ聴いてたら、噂の彼女にも普通、すごく普通って言われたらしいぞ」

「やっぱり普通なんだ」
「きっつー」
「よくそんな女と付き合おうと思うよね」
みんなが爆笑している。

この場に倒れないように机に体重をかけた。

「……感想求められたら、そう言って欲しいのかなって思うよね」

そう呟くと春子が「何言ってんの?どうしたの?顔色悪いけど具合悪いの?」と心配してきた。

隣にいる塚田くんまでもが「大丈夫?」と心配してくれている。

あー塚田君どの角度から見てもかっこいい。

酔っ払った春子が余計な事を言い出した。

「亜紀、今塚田君かっこいいなって思ってたでしょ?」

「……イケメンをかっこいいって思って何が悪い!」

開き直ってそう叫ぶとみんなが笑った。塚田君は困惑している。塚田君、本当に色々ごめんなさい。
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