第42話 習字が得意な人
文字数 1,020文字
意味もなく私達の横を駆け抜けていく車を目で追っていた。
「なんか、丸山さんの一言で長年の肩の荷が降りました」
私の本心だった。何故だかわからないけれど口が勝手に喋ってしまった。
目の前に駅近くのショッピングモールオゾンが見えてきた。隣の公園では親子連れが元気に遊んでいる。
「亜紀ちゃんが俺のこと素敵だと思ってくれたなら、付き合おうか?」
「はい…と言ってしまいそうなところでしたけど、私まだ信用してませんから」
丸山さんが不思議そうに聞いた。
「信用って?」
「だってどこからどう考えても私のこと好きだっていうのが、理由がわからないです。
丸山さんの周りに綺麗な人なんて吐いて捨てる程寄ってくるだろうし、何で私なんだろうって」
「女が寄ってくるなんて事は今は全然ないよ、飲み会に誰かが女の子呼んでたら、連絡先交換しよって言われる事が多いぐらいで」
「そういう所です」
私が険しい顔でいる事に気がついたのか、彼は弁解を始めた。
「ごめん、亜紀ちゃんが何か返してくれるかなって思ってふざけました。
俺は業界人もそうだし、ああいう飲み会に呼ばれる部類の女もトラウマレベルで怖いんです。
だから場の空気を考えてLINEの交換はしますけど、絶対に返信しません」
「でも私みたいにロケ先で普通の女の人に出会う事沢山あるじゃないですか?本当になんで私?って理由がわからないです」
そう言うと丸山さんは笑ってこう言った。
「うーん、可愛いし、一緒にいて楽しい所かな」
思わず吹き出してしまった。
「シンプルで明快な理由ですね」
「じゃあ亜紀ちゃんは、なんでホワイトアンドブラックのレイ君が好きなの?」
「えっ、声もかっこいいし、顔もかっこいいから」
そう言うと丸山さんと二人で目を合わせて笑った。
隣の公園から子供達のサッカーボールが私達のところに転がって来たので丸山さんが子供達に優しく蹴り返した。
子供達が「ありがとうございます」と叫んだ。
。
「理由なんかどうでもいいよ、無くたっていいんだし、とにかく付き合おうよ」
「じゃあ付き合ったら何してくれるんですか?」
悪戯心からそう聞くと丸山さんは自信満々に言った。
「そこら辺歩いてる男より俺稼いでるから、好きなもの買ってあげる」
私達の横を品川ナンバーの赤いスポーツカーが猛スピードで通り過ぎて行き、巻き起こった風で前髪が三秒間浮いた。
「なんか、丸山さんの一言で長年の肩の荷が降りました」
私の本心だった。何故だかわからないけれど口が勝手に喋ってしまった。
目の前に駅近くのショッピングモールオゾンが見えてきた。隣の公園では親子連れが元気に遊んでいる。
「亜紀ちゃんが俺のこと素敵だと思ってくれたなら、付き合おうか?」
「はい…と言ってしまいそうなところでしたけど、私まだ信用してませんから」
丸山さんが不思議そうに聞いた。
「信用って?」
「だってどこからどう考えても私のこと好きだっていうのが、理由がわからないです。
丸山さんの周りに綺麗な人なんて吐いて捨てる程寄ってくるだろうし、何で私なんだろうって」
「女が寄ってくるなんて事は今は全然ないよ、飲み会に誰かが女の子呼んでたら、連絡先交換しよって言われる事が多いぐらいで」
「そういう所です」
私が険しい顔でいる事に気がついたのか、彼は弁解を始めた。
「ごめん、亜紀ちゃんが何か返してくれるかなって思ってふざけました。
俺は業界人もそうだし、ああいう飲み会に呼ばれる部類の女もトラウマレベルで怖いんです。
だから場の空気を考えてLINEの交換はしますけど、絶対に返信しません」
「でも私みたいにロケ先で普通の女の人に出会う事沢山あるじゃないですか?本当になんで私?って理由がわからないです」
そう言うと丸山さんは笑ってこう言った。
「うーん、可愛いし、一緒にいて楽しい所かな」
思わず吹き出してしまった。
「シンプルで明快な理由ですね」
「じゃあ亜紀ちゃんは、なんでホワイトアンドブラックのレイ君が好きなの?」
「えっ、声もかっこいいし、顔もかっこいいから」
そう言うと丸山さんと二人で目を合わせて笑った。
隣の公園から子供達のサッカーボールが私達のところに転がって来たので丸山さんが子供達に優しく蹴り返した。
子供達が「ありがとうございます」と叫んだ。
。
「理由なんかどうでもいいよ、無くたっていいんだし、とにかく付き合おうよ」
「じゃあ付き合ったら何してくれるんですか?」
悪戯心からそう聞くと丸山さんは自信満々に言った。
「そこら辺歩いてる男より俺稼いでるから、好きなもの買ってあげる」
私達の横を品川ナンバーの赤いスポーツカーが猛スピードで通り過ぎて行き、巻き起こった風で前髪が三秒間浮いた。