第194話 クリスマスイブ

文字数 1,189文字

リビングでテレビを観ていると2回目のシャワーを浴び終わった彼が来た。
「一緒に寝てくれないと俺明日起きれないから来て」

一緒に寝室に行くと部屋に広いベッドが一台だけ置いてあった。
「ベッド広い!ホテルみたい!」と喜ぶと「そうだろ?」と言いながら彼がぐったり寝転んだので私も隣に寝転んだ。

「大丈夫?」
「亜紀はね俺がいい加減な生活してた罰として神が俺に遣わした天使だ」
「どういうこと?」
「こんなに深く愛し合ってるのに、やろうとする度にいろんな邪魔が入る。神が女の人を大切にしなかった俺に天罰をくらわしてるんだ。いつになったら許して貰えると思う?」
「それは神に聞いて、具合悪いんだからもう寝るよ」と部屋の電気を消して彼の少し離れた隣に寝転んだ。

暫く経っても彼がスマホを触っている。「眠れないの?」と聞くと「目が醒めて眠れないから亜紀のパジャマを選んでる」と真面目な声で言った。

思わず笑ってしまった。
「何で勝手に選んでるの」
「俺わかったんだよ、パジャマなら俺しか見ないから俺好みのセクシーな服着せられる」
「パジャマって寝る為の服でしょ?セクシーなパジャマなんか売ってる訳ないじゃん」
「今着てるのもなかなかいいよ」
私は何にも言い返せなかった。
「ほら見てみろ」

彼が検索画面を見せてきて思わず笑ってしまった。「何この服、胸元からへそあたりまで空いてるの?寒いじゃん」
「そうだな、予想以上だな。じゃあこれは?」と彼が水着よりも布の面積が狭いとんでもないパジャマを見せてきたので思わず吹き出した。
「こんなの着られるわけないでしょ?」
「上に羽織るやつついてるよ、あっもう注文しちゃった」
「ちょっと待ってよ、こんなの着ない方がましだって」
二人でこんなくだらないことをして笑っているこの瞬間が幸せだなと思った。

笑っている間にいつの間にか二人で寝てしまった。


翌朝、目が覚めると朝の8時でもう彼が居なくなっていた。私のアラームが全て解除された跡があって充電器に繋がれていたのできっと間に合ってはいるのだろう。あーもうやられた。

メールに「今日は夜の10時には帰れるから泊まってって。クリスマスのやり直しさせて」と来ていたけれど、「明日朝から鶏小屋の掃除と餌やりしなきゃいけないし帰る。子供は冬休みだけど他の仕事あるし」と送った。
すぐに「俺とのクリスマスとあのうるせぇ鶏の命どっちが大切なんだよ?」と聞かれ「鶏」と送ると「ですよね〜」と返ってきたので笑った。

帰る前に昨日干した洗濯物を畳んでいるとちょうど健からもメールが来た。

「母親に会ってみようかな」と一言だけ書いてあった。

健の本当のお母さんが健に会いたがっていて健も長い間どうするべきか迷っていた。健がそう決断したなら段取りをしよう。そう思って高山のおばさんの家へ電話をかけた。
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