第300話 同窓会
文字数 1,389文字
高崎駅の近くのビルの二階にある居酒屋の奥の席に十人ほどで座った。
隣に座っていた塚田君に「何か飲む?」とメニューを手渡され、思わずカクテルに目がいく。けれど彼とアルコールは飲まないと約束したから諦めよう。
「せっかくだからアルコール飲んだら?」
そう勧められたけれど嘘をついた。
「駅まで車で来ちゃったんだよね、ピーチジュースにしようかな」
そう言うと塚田君が私の分までピーチジュースを頼んでくれた。やっぱり優しいわ、この人そりゃあモテるよね。
「山浦さんは今どこに住んでるの?」
「なんと今長野県に住んでるんだ、群馬で働いてるんだけどね」
目の前に座っていた井上君が会話に参加してくる。
「山の上小って教員住宅も長野県で尚且つ凄い独特って噂には聞いたことあるけど」
「独特だよ、本当に独特。五年間居てプライベートが全然無かった」
うちの学校は群馬県の教員の間でも有名らしい。暫く三人で山の上村の話をして盛り上がっていた。
ふと塚田君が聞いてきた。
「弟さん達はもう働いてるんでしょ?」
「うん、実の弟の方は高崎で介護士して結婚もしてる」
井上君が昔のことを思い出したようだ。
「山浦さん、血の繋がりのない子も育ててるって聞いたけど、その子は今どうしてるの?」
「その子は実は従兄弟だったってことが最近わかったんだよ」
そう言うと塚田君が「あの子は従兄弟だったの?確かに似てると思ったんだよね」と何回も頷いた。
「そうなんだよ、健は今スカウトされて、俳優目指して東京で研修生やってるから」
「凄いじゃん」「でも全然売れてないけれど」
そう言って笑った。
井上君に急に電話がかかってきて、奥さんの体調が悪いらしく早々に帰っていった。
他のみんなは何やら昔の馬鹿話で盛り上がっている。
二人だけ何だか取り残された感じ。
塚田君がビールを飲むと微笑んだ。
「あいつ元気にやってる?」
すぐに宗教団体の転校生だとわかった。
「元気にはしてないけれど、毎日登校してるよ」
塚田君によれば、彼は高崎時代も普段はおとなしいのに急に暴れ誰かを怪我させるので大変だったらしい。
そしてその宗教団体に関するとんでもない噂を聞いてしまった。
「あくまで噂なんだけど、信者の人がある日突然いなくなるっていう不穏な噂があった」
結構なとんでもない噂に鳥肌が立つ。
「後、俺と校長の携帯に未だに毎日いたずら電話かけてくるんだよ」
塚田君によると、宗教団体が山の上村に引っ越した直後から色々な番号からの無言電話がかかってきて、背後でその宗教のお経がうっすらと聞こえるそうだ。
「何それ…‥色々と怖すぎるんだけど」
「だから俺は昨日携帯の番号変えたよ。校長先生は仕方ないから番号変えずに様子見るって」
「怖いな、じゃあ私もかかってくるかな」
再び鳥肌が立った。
「山浦さんもしあの宗教団体絡みで何かあったら、俺に聞いて、新しい番号とアドレス教えとくから」
「えっ、いいの?助かる」
実は転校生の彼に困っていたし、宗教団体の幹部であるお母さんにも困っていた。
塚田君の新しい番号とアドレスを教えて貰った。
私は大学時代から番号もアドレスも変わっていない、それはまだ塚田君の携帯に残っているらしい。
塚田君と初めて番号交換をした大学の頃を思い出して懐かしくなった。
あの頃は「やった!塚田君と番号交換しちゃった」と踊り出したい気持ちだった。
今でも少しウキウキするのは、塚田君が今でもイケメンなせいだろう。
隣に座っていた塚田君に「何か飲む?」とメニューを手渡され、思わずカクテルに目がいく。けれど彼とアルコールは飲まないと約束したから諦めよう。
「せっかくだからアルコール飲んだら?」
そう勧められたけれど嘘をついた。
「駅まで車で来ちゃったんだよね、ピーチジュースにしようかな」
そう言うと塚田君が私の分までピーチジュースを頼んでくれた。やっぱり優しいわ、この人そりゃあモテるよね。
「山浦さんは今どこに住んでるの?」
「なんと今長野県に住んでるんだ、群馬で働いてるんだけどね」
目の前に座っていた井上君が会話に参加してくる。
「山の上小って教員住宅も長野県で尚且つ凄い独特って噂には聞いたことあるけど」
「独特だよ、本当に独特。五年間居てプライベートが全然無かった」
うちの学校は群馬県の教員の間でも有名らしい。暫く三人で山の上村の話をして盛り上がっていた。
ふと塚田君が聞いてきた。
「弟さん達はもう働いてるんでしょ?」
「うん、実の弟の方は高崎で介護士して結婚もしてる」
井上君が昔のことを思い出したようだ。
「山浦さん、血の繋がりのない子も育ててるって聞いたけど、その子は今どうしてるの?」
「その子は実は従兄弟だったってことが最近わかったんだよ」
そう言うと塚田君が「あの子は従兄弟だったの?確かに似てると思ったんだよね」と何回も頷いた。
「そうなんだよ、健は今スカウトされて、俳優目指して東京で研修生やってるから」
「凄いじゃん」「でも全然売れてないけれど」
そう言って笑った。
井上君に急に電話がかかってきて、奥さんの体調が悪いらしく早々に帰っていった。
他のみんなは何やら昔の馬鹿話で盛り上がっている。
二人だけ何だか取り残された感じ。
塚田君がビールを飲むと微笑んだ。
「あいつ元気にやってる?」
すぐに宗教団体の転校生だとわかった。
「元気にはしてないけれど、毎日登校してるよ」
塚田君によれば、彼は高崎時代も普段はおとなしいのに急に暴れ誰かを怪我させるので大変だったらしい。
そしてその宗教団体に関するとんでもない噂を聞いてしまった。
「あくまで噂なんだけど、信者の人がある日突然いなくなるっていう不穏な噂があった」
結構なとんでもない噂に鳥肌が立つ。
「後、俺と校長の携帯に未だに毎日いたずら電話かけてくるんだよ」
塚田君によると、宗教団体が山の上村に引っ越した直後から色々な番号からの無言電話がかかってきて、背後でその宗教のお経がうっすらと聞こえるそうだ。
「何それ…‥色々と怖すぎるんだけど」
「だから俺は昨日携帯の番号変えたよ。校長先生は仕方ないから番号変えずに様子見るって」
「怖いな、じゃあ私もかかってくるかな」
再び鳥肌が立った。
「山浦さんもしあの宗教団体絡みで何かあったら、俺に聞いて、新しい番号とアドレス教えとくから」
「えっ、いいの?助かる」
実は転校生の彼に困っていたし、宗教団体の幹部であるお母さんにも困っていた。
塚田君の新しい番号とアドレスを教えて貰った。
私は大学時代から番号もアドレスも変わっていない、それはまだ塚田君の携帯に残っているらしい。
塚田君と初めて番号交換をした大学の頃を思い出して懐かしくなった。
あの頃は「やった!塚田君と番号交換しちゃった」と踊り出したい気持ちだった。
今でも少しウキウキするのは、塚田君が今でもイケメンなせいだろう。