第299話 同窓会
文字数 1,295文字
だいぶ酔いが回った春子がふと私の背中を見て叫んだ。
「ねぇ、背中にキスマークつけられてない?」
「えっ?えっ?どこ?」「ここだよ」「キスマーク?……あああっ!!」
出がけの一つの出来事を思い出した。玄関でいきなり抱きつかれ背中に何かされた。
ふと気がつくと周りのみんなの「昼間から何して来たんだよ」という視線が痛い。
「……みんなそんな目で見ないで!今朝出がけに玄関で背中に何かしてきたの、で何してるの?って聞いたら「ドラキュラごっこ」って言うから、またつまんないことしてんなって無視して出てきたんだけど」
その時私のスマホが鳴った。
「またかかってきた」
実はさっきから何度も怪しい男から着信がある。
春子が言った。
「例の怪しい男?」
「うん、昨日から自分で言った妄想に取り憑かれてるから。私が浮気するんじゃないかって。こんなことして絶対許さないから!」
電話を手に持ちみんなの輪を離れようとすると先生に止められた。
「山浦さん、ちょっと俺出てもいいかな?」
「あっ、はいどうぞ」
先生が出たらきっと狼狽えてシュンとするだろう。何だかんだ言っても家族に弱いし。
でもそれだけのことしたんだぞ!
先生は怪しい男相手にかなり怒っているようだ。
「もしもし、お前何で山浦さんにキスマークつけてんの?」
「何が魔除けだよ、山浦さんにこんなに恥描かせて!本当に早く別れろ!」
「何で別れないの?えっ?だから、何?自分の不安払拭する為だったら相手に恥かかせてもいいの?本当に自分のことしか考えてないよな。
だから俺はお前と山浦さんが付き合うことに反対なんだよ!」
「今日はもう山浦さんに電話してくんなよ、もう切るから、早く山浦さんと別れて彼女を解放して」
先生が電話を切ると、女の子達から拍手が上がった。「流石先生!かっこいい!」
坂本君も「先生抱いてください」と叫んでいる。
みんなが先生を絶賛する中、塚田君が私に小声でこう言った。
「いいの?あんなことされて」
ここは先生の名誉の為にも事実を話しておいた方がいい。
「……うん、本当に偶然だったんだけど付き合ってるのが先生の弟さんなの」
塚田くんは「あーチンピラの?」と顔を顰めた。
「ただ派手なだけでチンピラではなかったんだけどね。今はちゃんとしてるし」
「先生ちょっと飲み過ぎじゃないと思ったけど、そういうことか。……山で出会った丸山さん?」
ヤバい、塚田君が何かに気づき始めた。昔好きだった彼にだけは気づかれたくない。実はキツイ女だったなんて思われたくない。
「塚田君、ほらビールお代わりいる?どんどん飲んで」
塚田君の空いたグラスにビールを注いだ。
塚田君はやっぱり横顔もカッコ良い。
その後は学生時代の思い出話や子供の話をして盛り上がった、みんなで楽しく時を過ごしているとあっという間にお開きになってしまった。
先生は明日朝早いのでもう新幹線で帰るらしい。
春子に当然のように「私は子供実家に預けてるし大丈夫。亜紀も二次会いくでしょ?」と聞かれ「うん」と答えた。
本当は嫉妬深い彼に確認しようと思った。
けれどキスマークの恨みがあり聞かずにそのまま行くことにした。
別に行った所で何があるわけでもないし、いいでしょ。
「ねぇ、背中にキスマークつけられてない?」
「えっ?えっ?どこ?」「ここだよ」「キスマーク?……あああっ!!」
出がけの一つの出来事を思い出した。玄関でいきなり抱きつかれ背中に何かされた。
ふと気がつくと周りのみんなの「昼間から何して来たんだよ」という視線が痛い。
「……みんなそんな目で見ないで!今朝出がけに玄関で背中に何かしてきたの、で何してるの?って聞いたら「ドラキュラごっこ」って言うから、またつまんないことしてんなって無視して出てきたんだけど」
その時私のスマホが鳴った。
「またかかってきた」
実はさっきから何度も怪しい男から着信がある。
春子が言った。
「例の怪しい男?」
「うん、昨日から自分で言った妄想に取り憑かれてるから。私が浮気するんじゃないかって。こんなことして絶対許さないから!」
電話を手に持ちみんなの輪を離れようとすると先生に止められた。
「山浦さん、ちょっと俺出てもいいかな?」
「あっ、はいどうぞ」
先生が出たらきっと狼狽えてシュンとするだろう。何だかんだ言っても家族に弱いし。
でもそれだけのことしたんだぞ!
先生は怪しい男相手にかなり怒っているようだ。
「もしもし、お前何で山浦さんにキスマークつけてんの?」
「何が魔除けだよ、山浦さんにこんなに恥描かせて!本当に早く別れろ!」
「何で別れないの?えっ?だから、何?自分の不安払拭する為だったら相手に恥かかせてもいいの?本当に自分のことしか考えてないよな。
だから俺はお前と山浦さんが付き合うことに反対なんだよ!」
「今日はもう山浦さんに電話してくんなよ、もう切るから、早く山浦さんと別れて彼女を解放して」
先生が電話を切ると、女の子達から拍手が上がった。「流石先生!かっこいい!」
坂本君も「先生抱いてください」と叫んでいる。
みんなが先生を絶賛する中、塚田君が私に小声でこう言った。
「いいの?あんなことされて」
ここは先生の名誉の為にも事実を話しておいた方がいい。
「……うん、本当に偶然だったんだけど付き合ってるのが先生の弟さんなの」
塚田くんは「あーチンピラの?」と顔を顰めた。
「ただ派手なだけでチンピラではなかったんだけどね。今はちゃんとしてるし」
「先生ちょっと飲み過ぎじゃないと思ったけど、そういうことか。……山で出会った丸山さん?」
ヤバい、塚田君が何かに気づき始めた。昔好きだった彼にだけは気づかれたくない。実はキツイ女だったなんて思われたくない。
「塚田君、ほらビールお代わりいる?どんどん飲んで」
塚田君の空いたグラスにビールを注いだ。
塚田君はやっぱり横顔もカッコ良い。
その後は学生時代の思い出話や子供の話をして盛り上がった、みんなで楽しく時を過ごしているとあっという間にお開きになってしまった。
先生は明日朝早いのでもう新幹線で帰るらしい。
春子に当然のように「私は子供実家に預けてるし大丈夫。亜紀も二次会いくでしょ?」と聞かれ「うん」と答えた。
本当は嫉妬深い彼に確認しようと思った。
けれどキスマークの恨みがあり聞かずにそのまま行くことにした。
別に行った所で何があるわけでもないし、いいでしょ。