第215話 伊豆の踊子
文字数 772文字
改札口までつくと軽く息が切れた。彼はもっと疲れていたから「これぐらいで疲れすぎ」と言うと「逆に何でそんなに体力あるの?」と聞いてきた。
「毎週火、木の朝はマラソンの時間だから、二十分ずっと校庭走って、それから一日働かなくちゃいけないんだから」「だから35なのにあんなに引き締まったいい体してるの?」そう言って彼はわざとらしくエロい目でこちらを見てきた。
「あーもう最悪」
走った後は余り頭が働かないから言い返せない。今戦ったら負けるので相手にしないように「どこまで行くの?切符買わなきゃ」と極めて冷静に言い放って上の路線図を眺めた。
彼に「はい」と切符を差し出された。「えっ、買ってくれてたの?」「後輩に旅行代理店でバイトしてるやついるから、全部任せた」「へぇ凄いね。あっいくらだった?」そう言ってリュックから財布を取り出そうとして慌てて何もしないフリをした。
「セーフ、危ない危ない」そう呟くと彼は笑っている。
改札から駅の構内へと入った。伊豆行きの水色の特急がもう九番線のホームに来ていた。電車に乗り込むと「ここだよ」と言われた所に座った。
「東京往復の新幹線以外の電車に乗るのなんて滅多にないから嬉しい、ありがとう」
「俺が何で車じゃなくて電車にしたか知ってる?」
「車の運転嫌いだからでしょ?」
「それもあるけど、手が空いてるからずっとイチャつけるだろ?二時間ずっとキスしててもいい」
「流石に飽きる」
そう言って目を合わせて笑った。周りを見渡すと誰も座っていない、けれど微かに人の喋り声がするから離れた場所に誰かしらは乗っているのだろう。
「窓から海見えるかな?」
「見えるよ、海沿いを行くから」
彼はそういうと肩に手を回して来たので今日は素直に彼に寄り掛かった。
発車の音楽が鳴って電車がゆっくりと動き出した。特に意味はないけれどお互いに見つめ合って微笑んでいた。
「毎週火、木の朝はマラソンの時間だから、二十分ずっと校庭走って、それから一日働かなくちゃいけないんだから」「だから35なのにあんなに引き締まったいい体してるの?」そう言って彼はわざとらしくエロい目でこちらを見てきた。
「あーもう最悪」
走った後は余り頭が働かないから言い返せない。今戦ったら負けるので相手にしないように「どこまで行くの?切符買わなきゃ」と極めて冷静に言い放って上の路線図を眺めた。
彼に「はい」と切符を差し出された。「えっ、買ってくれてたの?」「後輩に旅行代理店でバイトしてるやついるから、全部任せた」「へぇ凄いね。あっいくらだった?」そう言ってリュックから財布を取り出そうとして慌てて何もしないフリをした。
「セーフ、危ない危ない」そう呟くと彼は笑っている。
改札から駅の構内へと入った。伊豆行きの水色の特急がもう九番線のホームに来ていた。電車に乗り込むと「ここだよ」と言われた所に座った。
「東京往復の新幹線以外の電車に乗るのなんて滅多にないから嬉しい、ありがとう」
「俺が何で車じゃなくて電車にしたか知ってる?」
「車の運転嫌いだからでしょ?」
「それもあるけど、手が空いてるからずっとイチャつけるだろ?二時間ずっとキスしててもいい」
「流石に飽きる」
そう言って目を合わせて笑った。周りを見渡すと誰も座っていない、けれど微かに人の喋り声がするから離れた場所に誰かしらは乗っているのだろう。
「窓から海見えるかな?」
「見えるよ、海沿いを行くから」
彼はそういうと肩に手を回して来たので今日は素直に彼に寄り掛かった。
発車の音楽が鳴って電車がゆっくりと動き出した。特に意味はないけれどお互いに見つめ合って微笑んでいた。