第295話 同窓会
文字数 1,909文字
「次俺言うよ、塚田蓮です。今高崎の米崎小の四年生を担任しています。今一番の悩みは親に早く結婚して家を出てと煩く言われていることです」
また場が笑いに包まれた。
十何年ぶりに塚田君を見て不覚にもかっこいいと思ってしまった。
顔だけで言えば重ちゃんみたいな髭が似合うタイプより、こういう少女漫画に出てきそうな正統派綺麗イケメンが好きなんだよね。
もう一回顔みておこうかな、そう思いもう一回チラッと塚田君の顔を見た。
「うわっかっこいい!」
心の中で絶叫した。塚田君に優柔不断なことを何回もされたけれど、それでも好きだった。
塚田君、思い出を壊さないビジュアルを保っててくれてて有難う。
そして重ちゃん、一瞬でもこんな事を思っちゃってごめんなさい。
ふと塚田君の自己紹介で引っかかるワードが一つあった。
「米崎小?!」
思わず大声が出てしまった。クラスにいる村に移り住んで来た宗教団体の子が米崎小学校から来てたからだ。
塚田君は全てを察したようだ。私の方をみて「あいつ山浦さんの学校行ったよね?担任してたんだよね、大変だったな。あいつクラスにいるの?」
「いるよ、なかなか心開いてくれなくて。他の子とも馴染めないし。前の担任は塚田君だったんだ、凄い偶然だね」
私がそう言うと坂本君が余計なことを言い出した。
「この偶然を機に塚田君と山浦さんお似合いだから付き合えばいいじゃん」
「そうだ、そうだお似合い!」
「塚田君、卒業後の飲み会の帰りに再会したら付き合ってくれ的なこと言ってなかった?」
酔っ払った同級生達が次々と冷やかしてくる。
「ちょっと待って、みんな酔いすぎでしょ?」
必死に場を宥めようとうする。
友人の春子がトドメを刺してきた。
「アキだって昔、塚田君のこと好きだったじゃん。一目惚れしてそのまま四年間好きだったんだよね、いつも「今日も塚田君かっこいい」っていうの日課だったじゃん」
飲んでいたウーロン茶を喉に詰まらせた。春子は本人を前に何てことを言い出すんだ。
塚田君は困惑しているようだ。酔いが回っている周りがさらに冷やかしてきた。
流石にこの状況は塚田君に申し訳ない。
私が場を明るくしようと「誰か紹介して下さい」と言ったばかりにこんな事になってしまった。しかも思いっきり滑ったし。
塚田君だって独身なだけで彼女は絶対にいるだろう。22歳くらいの彼女いそう。
それに一番申し訳ないのは重ちゃんだ。
こうなるのが1番嫌だったのだろう、本当にごめんなさい。
「いや、だから、今付き合ってる人いるし、みんな無責任に囃し立てるけど塚田君だってそうでしょ?」
仲の良い友人である春子が大声で叫んだ。
「ちょっと待って!彼氏できたなんて一言も聞いてないし!いつから付き合ってるの?」
彼女とは仲がいいが、子育てが忙しそうで最近はあまり連絡を取っていなかった。
「秋ぐらい」
そう答えると女の子達が騒ぎ出した。
「えーっ、写真ないの?」「ない」「じゃあ芸能人でいうと誰に似てる?」
「……いや、誰にも似てない。」
ここでラビッツの丸山さんに似てるなんていうしょうもないことは絶対に言わない。
「誰かいるじゃん、ちょっとくらい似てるでいいから考えてよ」
どうして女子は人の彼氏の話しが好きなんだ。もうほっといてくれ。
「……この間、眼鏡かけてる時があって、それが思いの外、義政先生に似てた」
先生は苦笑いしている。実の弟が似ているのは当たり前だ。
すると義政先生大好きの全ての女子達が騒いだ「えっ凄い!先生に似てるの?かっこいい!」
「じゃあ彼氏さんの職業は?」
「職業は……自由業みたいな」
場が一気に凍りついたのがわかった。
きいちゃんが何かをフォローするようにこう言った。
「ほらっ、自由業ってことはお金持ちなんじゃないの?年収いくらくらい?」
「知らない、聞いたことないからなぁ。向こうは珍しいみたいでやたらと私の給料明細とか見たがるけどね」
また場が静まり返った。
違う女の子がまたフォローを入れてくれた。これ以上彼氏を掘り下げてはいけないと思われたのだろう。
「そういえば亜紀ちゃん、この間ラビッツの丸山さんと登山してなかった?」
「それ見た」「最後だけ見た」
結構な反応があった。この場にいる半分ぐらいの人が見ていたらしい。
「すごいね、割と見てるもんだね」
「丸山さんってどんな人だった?」
「ちょっと変だけど凄く優しいよ」
顔はわかるんだけれど、名前を思い出せない男の子が話しかけてきた。
「へぇ、意外だね。山浦さん登山中あの人にずっと口説かれてなかった?匂い嗅がせてくれとか付き合ってくれとか言われてたよね?」
「……ネタだよネタ」
そう言うとみんなが「だよね」と笑ったけれど、事情を知る義政先生はまた苦笑いしていた。
また場が笑いに包まれた。
十何年ぶりに塚田君を見て不覚にもかっこいいと思ってしまった。
顔だけで言えば重ちゃんみたいな髭が似合うタイプより、こういう少女漫画に出てきそうな正統派綺麗イケメンが好きなんだよね。
もう一回顔みておこうかな、そう思いもう一回チラッと塚田君の顔を見た。
「うわっかっこいい!」
心の中で絶叫した。塚田君に優柔不断なことを何回もされたけれど、それでも好きだった。
塚田君、思い出を壊さないビジュアルを保っててくれてて有難う。
そして重ちゃん、一瞬でもこんな事を思っちゃってごめんなさい。
ふと塚田君の自己紹介で引っかかるワードが一つあった。
「米崎小?!」
思わず大声が出てしまった。クラスにいる村に移り住んで来た宗教団体の子が米崎小学校から来てたからだ。
塚田君は全てを察したようだ。私の方をみて「あいつ山浦さんの学校行ったよね?担任してたんだよね、大変だったな。あいつクラスにいるの?」
「いるよ、なかなか心開いてくれなくて。他の子とも馴染めないし。前の担任は塚田君だったんだ、凄い偶然だね」
私がそう言うと坂本君が余計なことを言い出した。
「この偶然を機に塚田君と山浦さんお似合いだから付き合えばいいじゃん」
「そうだ、そうだお似合い!」
「塚田君、卒業後の飲み会の帰りに再会したら付き合ってくれ的なこと言ってなかった?」
酔っ払った同級生達が次々と冷やかしてくる。
「ちょっと待って、みんな酔いすぎでしょ?」
必死に場を宥めようとうする。
友人の春子がトドメを刺してきた。
「アキだって昔、塚田君のこと好きだったじゃん。一目惚れしてそのまま四年間好きだったんだよね、いつも「今日も塚田君かっこいい」っていうの日課だったじゃん」
飲んでいたウーロン茶を喉に詰まらせた。春子は本人を前に何てことを言い出すんだ。
塚田君は困惑しているようだ。酔いが回っている周りがさらに冷やかしてきた。
流石にこの状況は塚田君に申し訳ない。
私が場を明るくしようと「誰か紹介して下さい」と言ったばかりにこんな事になってしまった。しかも思いっきり滑ったし。
塚田君だって独身なだけで彼女は絶対にいるだろう。22歳くらいの彼女いそう。
それに一番申し訳ないのは重ちゃんだ。
こうなるのが1番嫌だったのだろう、本当にごめんなさい。
「いや、だから、今付き合ってる人いるし、みんな無責任に囃し立てるけど塚田君だってそうでしょ?」
仲の良い友人である春子が大声で叫んだ。
「ちょっと待って!彼氏できたなんて一言も聞いてないし!いつから付き合ってるの?」
彼女とは仲がいいが、子育てが忙しそうで最近はあまり連絡を取っていなかった。
「秋ぐらい」
そう答えると女の子達が騒ぎ出した。
「えーっ、写真ないの?」「ない」「じゃあ芸能人でいうと誰に似てる?」
「……いや、誰にも似てない。」
ここでラビッツの丸山さんに似てるなんていうしょうもないことは絶対に言わない。
「誰かいるじゃん、ちょっとくらい似てるでいいから考えてよ」
どうして女子は人の彼氏の話しが好きなんだ。もうほっといてくれ。
「……この間、眼鏡かけてる時があって、それが思いの外、義政先生に似てた」
先生は苦笑いしている。実の弟が似ているのは当たり前だ。
すると義政先生大好きの全ての女子達が騒いだ「えっ凄い!先生に似てるの?かっこいい!」
「じゃあ彼氏さんの職業は?」
「職業は……自由業みたいな」
場が一気に凍りついたのがわかった。
きいちゃんが何かをフォローするようにこう言った。
「ほらっ、自由業ってことはお金持ちなんじゃないの?年収いくらくらい?」
「知らない、聞いたことないからなぁ。向こうは珍しいみたいでやたらと私の給料明細とか見たがるけどね」
また場が静まり返った。
違う女の子がまたフォローを入れてくれた。これ以上彼氏を掘り下げてはいけないと思われたのだろう。
「そういえば亜紀ちゃん、この間ラビッツの丸山さんと登山してなかった?」
「それ見た」「最後だけ見た」
結構な反応があった。この場にいる半分ぐらいの人が見ていたらしい。
「すごいね、割と見てるもんだね」
「丸山さんってどんな人だった?」
「ちょっと変だけど凄く優しいよ」
顔はわかるんだけれど、名前を思い出せない男の子が話しかけてきた。
「へぇ、意外だね。山浦さん登山中あの人にずっと口説かれてなかった?匂い嗅がせてくれとか付き合ってくれとか言われてたよね?」
「……ネタだよネタ」
そう言うとみんなが「だよね」と笑ったけれど、事情を知る義政先生はまた苦笑いしていた。