第274話 追撃される
文字数 1,916文字
彼は何故だか私を見つめた。
「わかった、じゃああの話して、さーっと逃げてった男のナンバー3の話」
「何で今それを?」「いいから」
彼はこれだと思ったことに関してはかなり押しが強い、渋々彼に言われるまま話し始めた。
「だから若い頃に地元でも有名な大病院の息子さんと知り合って、かっこいいわけじゃなかったんだけど、仕事熱心で爽やかで優しくて何回なデートしたんだよ。これもしかして付き合えるんじゃないって思ってたら、ある日家にお母さんとお父さんがいらっしゃったの、小型のジュラルミンケース持って」
彼は「嫌な予感」とヒッヒッヒッと笑っている
「でしょ?そしたら案の定「息子と別れてくれ」って言われて、弟が「そんなの姉ちゃん達の自由だ!」って怒り返して違う弟がそれ止めたり応酬してたんだよ。
そしたらお母さん達が「ただでとはいいません、それなりの物用意させて貰いました」パカッてジュラルミンケース開けたんだよ。
弟は「お金なんかじゃない!」って怒鳴り返したんだけど、でもよくよく見るとそこに入ってるの一万円の束じゃなくて、千円札の束だった、推定五万円。
弟二人とも両手上げて「セコー」って叫んでた」
彼は満足そうにヒッヒッヒッと笑ってこう言った。「じゃあ次ホワイトアンドブラックあるある言って
「あるある?……summer,again 真冬のライブで歌いがち」
若い子は知らないかなと思いわざわざ歌ってあげた。お喋りな人、息は強く
彼はまたヒッヒッヒッと笑うと「はい次、一発ギャグ」「そこまでやるわけ無いでしょ!」
「あぁそう?サラちゃんさ、こういう風にすぐ話せるエピソードトーク持ってんの?無茶振りにすぐ対応できるの?はい、若い子の為に続きは亜紀が言って」
「何で私が?」「俺これ以上女に恨まれたく無いし。仕事で慣れてるだろ?」
確かに今言わないとサラちゃんの為にならない。でも何で私が……腑に落ちないまま続きを私が話した。
「……だから、この人が言いたいのは、今は事務所のゴリ押しで売れてるからいいけれど、自分の実力が伴ってないでしょ?それが終わったらどうするの?
もうちょっと力つけなきゃ生き残っていけないんじゃ無いの?ってことをこの人が言いたいんだと思う」
するとサラちゃんがガバッと立ち上がった。「こんな説教臭いおばさん嫌!」
「あはは、説教臭いおばさんだって」と彼は私を指差して笑った。
「あなたが言わないから北澤さんとか私が悪者になってんでしょうが!」
「俺面倒なこと嫌いだし、北澤と亜紀は面倒ごとが好きだからいいだろ?」
その様子を見てサラちゃんはさらに子供みたいに泣き出し鞄を掴むと部屋を出て行ってしまった。
一体何だったんだろう、玄関の戸が激しく閉まる音がすると、彼が申し訳なさそうに口を開いた。
「俺おじさんだけどイケメンだし売れてるからモテるんだよ。サラちゃんに付き合ってくれって言われてて周りの奴らが面白がって囃し立てるからさ、家に来て彼女に口喧嘩で勝ったらいいよ」って言ったら本気で来た」
「はぁ?」
何でもかんでも面倒なことは他人に押し付けて、フツフツと怒りが沸いてくる。彼は私の殺気を感じ取り話題を変えた。
「あーあ、それにしてもサラちゃん怖いな、どうやって家調べたんだよ。団蔵か?あいつサラちゃんにデレデレしてるから」
必死に話を変えようとしてるけれど、絶対に許さないから。
「あっ、そうだ!亜紀いいニュースがある。やっぱり俺行くことになってた」
「何に?」
「バレンタインデーに山の上村にロケで行くことになってた」
前にそういう話があると校長先生から聞いた。でもスケジュールが合わなくて来ないもんだと思っていたから何だか嬉しい。単純な私は今まで怒っていたことをすっかり忘れた。
「本当?嬉しいけれど職場に来られたら何か恥ずかしいね」
「今度こそ北澤が行くことになってたんだけど、北澤が亜紀とロケするの気まずいって嫌がってたから上手いこと調整したらしい」
「確かに私も北澤さんに来られたら気まずいかも」
「だろ?」と彼が何故か得意気に言うので二人で目を合わせて笑った。
「翌日土曜の昼間も仕事入れてませんからね、感謝して下さい」って言われたわ」
「そうなんだ、マネージャーさん親切だね」
「いや、俺も何で急に気の利いたことすんだ?と思って聞いたんだよ。そしたら丸山さんに申し訳ないことしてしまったって言うんだよ」
どうせ変な仕事を入れたとかそんな感じだと思って笑った。
「何それ?何したの?って聞いても、別に大したことじゃないから、じきにわかりますからしか言わないの。そっちが怖い」
「えー何したんだろうね」
この時はまだ彼だけではなく、私に多大なる迷惑をかけられるものだとは思いもしなかった。
「わかった、じゃああの話して、さーっと逃げてった男のナンバー3の話」
「何で今それを?」「いいから」
彼はこれだと思ったことに関してはかなり押しが強い、渋々彼に言われるまま話し始めた。
「だから若い頃に地元でも有名な大病院の息子さんと知り合って、かっこいいわけじゃなかったんだけど、仕事熱心で爽やかで優しくて何回なデートしたんだよ。これもしかして付き合えるんじゃないって思ってたら、ある日家にお母さんとお父さんがいらっしゃったの、小型のジュラルミンケース持って」
彼は「嫌な予感」とヒッヒッヒッと笑っている
「でしょ?そしたら案の定「息子と別れてくれ」って言われて、弟が「そんなの姉ちゃん達の自由だ!」って怒り返して違う弟がそれ止めたり応酬してたんだよ。
そしたらお母さん達が「ただでとはいいません、それなりの物用意させて貰いました」パカッてジュラルミンケース開けたんだよ。
弟は「お金なんかじゃない!」って怒鳴り返したんだけど、でもよくよく見るとそこに入ってるの一万円の束じゃなくて、千円札の束だった、推定五万円。
弟二人とも両手上げて「セコー」って叫んでた」
彼は満足そうにヒッヒッヒッと笑ってこう言った。「じゃあ次ホワイトアンドブラックあるある言って
「あるある?……summer,again 真冬のライブで歌いがち」
若い子は知らないかなと思いわざわざ歌ってあげた。お喋りな人、息は強く
彼はまたヒッヒッヒッと笑うと「はい次、一発ギャグ」「そこまでやるわけ無いでしょ!」
「あぁそう?サラちゃんさ、こういう風にすぐ話せるエピソードトーク持ってんの?無茶振りにすぐ対応できるの?はい、若い子の為に続きは亜紀が言って」
「何で私が?」「俺これ以上女に恨まれたく無いし。仕事で慣れてるだろ?」
確かに今言わないとサラちゃんの為にならない。でも何で私が……腑に落ちないまま続きを私が話した。
「……だから、この人が言いたいのは、今は事務所のゴリ押しで売れてるからいいけれど、自分の実力が伴ってないでしょ?それが終わったらどうするの?
もうちょっと力つけなきゃ生き残っていけないんじゃ無いの?ってことをこの人が言いたいんだと思う」
するとサラちゃんがガバッと立ち上がった。「こんな説教臭いおばさん嫌!」
「あはは、説教臭いおばさんだって」と彼は私を指差して笑った。
「あなたが言わないから北澤さんとか私が悪者になってんでしょうが!」
「俺面倒なこと嫌いだし、北澤と亜紀は面倒ごとが好きだからいいだろ?」
その様子を見てサラちゃんはさらに子供みたいに泣き出し鞄を掴むと部屋を出て行ってしまった。
一体何だったんだろう、玄関の戸が激しく閉まる音がすると、彼が申し訳なさそうに口を開いた。
「俺おじさんだけどイケメンだし売れてるからモテるんだよ。サラちゃんに付き合ってくれって言われてて周りの奴らが面白がって囃し立てるからさ、家に来て彼女に口喧嘩で勝ったらいいよ」って言ったら本気で来た」
「はぁ?」
何でもかんでも面倒なことは他人に押し付けて、フツフツと怒りが沸いてくる。彼は私の殺気を感じ取り話題を変えた。
「あーあ、それにしてもサラちゃん怖いな、どうやって家調べたんだよ。団蔵か?あいつサラちゃんにデレデレしてるから」
必死に話を変えようとしてるけれど、絶対に許さないから。
「あっ、そうだ!亜紀いいニュースがある。やっぱり俺行くことになってた」
「何に?」
「バレンタインデーに山の上村にロケで行くことになってた」
前にそういう話があると校長先生から聞いた。でもスケジュールが合わなくて来ないもんだと思っていたから何だか嬉しい。単純な私は今まで怒っていたことをすっかり忘れた。
「本当?嬉しいけれど職場に来られたら何か恥ずかしいね」
「今度こそ北澤が行くことになってたんだけど、北澤が亜紀とロケするの気まずいって嫌がってたから上手いこと調整したらしい」
「確かに私も北澤さんに来られたら気まずいかも」
「だろ?」と彼が何故か得意気に言うので二人で目を合わせて笑った。
「翌日土曜の昼間も仕事入れてませんからね、感謝して下さい」って言われたわ」
「そうなんだ、マネージャーさん親切だね」
「いや、俺も何で急に気の利いたことすんだ?と思って聞いたんだよ。そしたら丸山さんに申し訳ないことしてしまったって言うんだよ」
どうせ変な仕事を入れたとかそんな感じだと思って笑った。
「何それ?何したの?って聞いても、別に大したことじゃないから、じきにわかりますからしか言わないの。そっちが怖い」
「えー何したんだろうね」
この時はまだ彼だけではなく、私に多大なる迷惑をかけられるものだとは思いもしなかった。