第131話 夜の街で

文字数 1,224文字

家に帰って来るとドアの鍵を珍しくすぐにかけた。いつもは寝る時もかけるのを忘れることが多いのに。

おめでたい頭の構造をしている私は彼をまだ信じていた。きっとこれは私と付き合う前のことだ、彼に限ってそんな事してないという変な自信さえあった。

部屋の机に座ると大きく息を吐いた。本屋の山吹色の紙袋から週刊誌を取り出し何故か震える手でページを開く。

表紙から十ページめくると該当のページが現れた。一枚目の写真は彼が好きな牛丼屋で牛丼を食べている写真で、二枚目の写真は如何にも怪しげなお店に入って行こうとする写真だった。

どちらの写真も同じ日付に撮られたもののようで彼は薄手のロンTを着ていた。

このロンTは確か某ブランドのやつで、ブランド関係者からプレゼントされたって一ヶ月前に喜んで自慢してたやつだ。

よっぽどショックだったようで私の脳は思考停止した。はっきりとした裏切りの事実を突きつけられても何の感想も浮かんでこない。

左のページに目をやると下着姿のセクシーな女の人の写真の左側に文章が載っていた。



風俗好きで有名なラビッツ丸山だが、彼が寵愛した風俗嬢がいるのはご存知だろうか?彼女の名前は如月雪乃、そんな彼女がインタビューに答えてくれた。

「彼とは二年くらいの付き合い、二週間に一回は指名してくれるの。風俗王の別名がある彼に指名されるのはとても光栄、他に通ってるお店もあるみたいだけどここが一番だって言ってくれるの。

彼は風俗王ってよくいじられてるから、とんでもないプレイ要求してきそうでしょ?意外とノーマルなプレイが好きでテクニックも普通笑、とにかく全てが普通。

でも私達に対しても金払ってるんだからって高圧的じゃなく優しいの。彼は「セックスはスポーツだ」って良くテレビでもうちの店でも言ってるけど、本当にそうだと思うの。お互いに尊重しなきゃいいセックスはできないよね。

彼は最近地方だけど冠番組の話しがあるって喜んでたわ。私も彼の活躍が嬉しい、でも本命の彼女ができたみたいで、もうすぐお店に来ないって言ってるんだけど、しつこくまだ来てるわ。私の体がやめられないのね」

そんな雪乃さんAVデビューが決定しました、抜群のスタイルでAV界を席巻すること間違いなし!発売日は一月三日、本誌ではデビューに先駆けて彼女のフルヌードを袋とじでお見せします!

勢いよく本を閉じ長い息を吐いた。最後まで読んだ事を初めて後悔した。

私の脳は思考停止して誤作動を始めた。

また週刊誌を、開くと袋とじをそっと破った。女が見てもこの人凄くスタイルいいな思う綺麗な女の人が一矢纏わぬ姿で立っていた。

セクシーの象徴みたいな体、顔立ちが凄く大人びている、手足も長いし胸も凄く大きいし、ウエストはしっかり締まっていてくびれが凄い、背も170はあって高そう。
何とか姉妹の三番目の妹で通じそうだ。

見た事を後悔して勢いよく本を閉じた。

ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み