第303話 同窓会

文字数 1,080文字

翌日月曜日、昨日の同窓会の楽しい気分が全て吹っ飛ぶような教員生活で最大の事件が起こってしまった。

放課後、私のクラスにいるひろくんと司君が校庭で遊んでいた。すると噂の宗教団体の子、充くんがやってきて暴れてヒロ君と司君をジャングルジムの上から落っことしてしまったのだ。

目撃していた女の子達が職員室に知らせに来てくれたので、救急車を呼び私も救急車に乗り近くの病院まで付き添った。


ヒロくんは手を骨折、司くんは頭を打ったのでCTを撮り、結果何もなかったらしい。

病院から戻ってくると充くんは保健の先生と保健室に待機させられていた。

充くんのお母さんに電話を入れるが「充はやっていない」の一点張り。

取り敢えず学校にご両親を呼んでいる間、充くんと世間話というか一方的に話しかけていると、充くんがポツリと「お母さんが埋められて最近新しくなった」ととんでもないことを呟き、それ以上は何も話さなかった。

塚田君が言っていた「信者が突然いなくなる」という言葉を思い出して戦慄が走る。

ひろくんと司くんのお母さんと充くんのお母さんと教祖様であるお父さんに学校まで来てもらったが、「充は神のご加護がありやっていない」の一点張りで全く話が通じず、一瞬で充くんを連れ学校から引き上げて行った。

そこでヒロくんのお母さんが宗教団体に怒りをぶつけても無駄だと悟ったのか。今度は学校を訴えてやると言い出した。

訴えられても放課後のことだし、負けるはずはないのだが、学校として保護者を邪険に扱えないのでお母さんの怒りを宥めるのに体力を使った。

司くんのお母さんはとてもできた人で必死に学校を庇ってくださっていて本当に有難い。

ヒロくんのお母さんが学校を散々罵倒し満足したのが夜の八時で、そこから校長先生と教頭先生と充くんの呟きについて協議した。

校長先生も信者が行方不明になるという噂を聞いたことがあるようだ。

地元の警察署は今の署長さんが面倒なことを握りつぶす人なので、訴えた所で子供の戯言だと思って大して調べはしないだろう。

ただ子供が嘘を言っている可能性もあるので、明日元担任である塚田君に会いに行って、転校してきた日に撮ったお母さんが写った写真を確認してもらい、本当の母親か確認する。

更に宗教団体のことを色々と聞いてこようということになった。

予想が的中した時は県教育委員会まで話を持っていき、対応を全て任せる。

それが学校にできることの全てだ。

校長先生が米崎小の校長先生と知り合いのようで、電話で色々話をつけて、明日夜の7時に高崎駅前のファミレスで、私と校長先生、向こうの校長先生と塚田君と四人で会うことになった。
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