第191話 クリスマスイブ
文字数 1,489文字
「さっき女優の海山海香ちゃんが楽屋来たんだよ」
海山海香ちゃんは二十歳で今大人気の女優さんだ。
「えっ凄いじゃん!北澤さんって顔広いね」
「海香ちゃんが俺のところ来て「生き方がかっこいいです、尊敬してます。恋人をオープンにするなんてなかなかできないですよね」って言ってきたから、気分良く「愛してるからね」とか調子乗ってたら「彼氏さんといつまでも仲良くして下さい」って言われたんだけど」
「姉として深く謝罪します。智が「はーい」って返事した時に関係者席の人達がざわついてました」
「もう最悪だよ、北澤は「やっぱりあの俺が見た亜紀ちゃんはお前が用意した偽者なんだろ?隠す事じゃない、堂々とカミングアウトしろ」とか言ってくるし」
「北澤さん滅茶苦茶いい人」
そう言うと目を合わせて二人で笑った。
「これからそこにいた人達も含めて打ち上げなんだけど、俺どうやって誤解を解いたらいいんだよ」
「でもたかちゃんが言ってたけれど二丁目界隈で人気なんでしょ?」
「昔からだよ有難いけどな。そうだ亜紀ちゃん一緒に打ち上げ来てよ。そしたら誤解も解けるし終わったら一緒に帰れるし」
「ちょっとそれは無理」
はっきり断ると彼は悲しそうな顔をした。
「逆に考えて、うちの学校の運動会の打ち上げに来て校長村長PTA会長と一緒に飲みたい?」
「確かにそれは嫌だわ」
そう言って気まずそうに彼は笑った。
一呼吸置いて彼は着ているグレーのコートのポケットから小さなブルーの包み紙で包まれた箱を取り出した。
「はい、あげる。家で渡してもいいんだけど、酔い潰れる可能性がかなり高いからプレゼント」
「やっぱり酔い潰れると思ってるんだ。ありがとうなんだろう?」
「今開けてみて」
言われたとおりに包み紙をそっと開けた。包み紙の中には白い箱がはいっていて、英語で何やら店名みたいなのが刻印されている。
箱のふたをとると中にはシルバーのネックレスが入っていた。手に取るとモチーフがキラキラと光っていた。
「綺麗、すごく綺麗。つけてみていいかな」
彼が和かにうなづいた。首につけると首元でキラッと光ってとても綺麗だった。
「ありがとう、凄く嬉しい。でも何で誕生日でもないのにプレゼントくれたの?あっ」
私は自分で自分の馬鹿さ加減に気がついた。今日クリスマスイブなんだ。彼はそんな私をみてヒッヒッヒッと笑っている。
「そうだ、今日はクリスマスイブなんだ。カップルが意味もなくプレゼント交換会してイチャつく日なんだった」
「何か凄く偏見が入っとるな」
彼はそう言ってまた穏やかに笑った。
「さっきラブホテル街通り過ぎた時、どこも道路まで行列できてて、おまけにその様子テレビカメラで撮影されてて、東京の人ってうちの村の人と同じでちょっと頭おかしいなって思ってたけど、自分が一番おかしかった!」
「道路に並んでる奴らは本当に頭おかしいぞ」
「本当にごめん、何にも用意してない」
私は項垂れた。本当にショックだった、どうして忘れてたのだろう。
「亜紀が頭から抜けてることわかってたから。クリスマスって言っても近所の美味しいケーキ屋で買って食べようかなって嬉しそうに語られただけだし、俺と過ごしたいとか一切言及しなかったから」
彼がそう言って笑ったので私も愛想笑いした。
今まで子供達にプレゼントをあげることはあっても、35年間生きてきて恋人といちゃつくクリスマスを体験した事がなかったから頭からスッポリ抜けていだなんて、言えるわけがない。
でも何でクリスマスイブって恋人といちゃついて過ごすの?
海山海香ちゃんは二十歳で今大人気の女優さんだ。
「えっ凄いじゃん!北澤さんって顔広いね」
「海香ちゃんが俺のところ来て「生き方がかっこいいです、尊敬してます。恋人をオープンにするなんてなかなかできないですよね」って言ってきたから、気分良く「愛してるからね」とか調子乗ってたら「彼氏さんといつまでも仲良くして下さい」って言われたんだけど」
「姉として深く謝罪します。智が「はーい」って返事した時に関係者席の人達がざわついてました」
「もう最悪だよ、北澤は「やっぱりあの俺が見た亜紀ちゃんはお前が用意した偽者なんだろ?隠す事じゃない、堂々とカミングアウトしろ」とか言ってくるし」
「北澤さん滅茶苦茶いい人」
そう言うと目を合わせて二人で笑った。
「これからそこにいた人達も含めて打ち上げなんだけど、俺どうやって誤解を解いたらいいんだよ」
「でもたかちゃんが言ってたけれど二丁目界隈で人気なんでしょ?」
「昔からだよ有難いけどな。そうだ亜紀ちゃん一緒に打ち上げ来てよ。そしたら誤解も解けるし終わったら一緒に帰れるし」
「ちょっとそれは無理」
はっきり断ると彼は悲しそうな顔をした。
「逆に考えて、うちの学校の運動会の打ち上げに来て校長村長PTA会長と一緒に飲みたい?」
「確かにそれは嫌だわ」
そう言って気まずそうに彼は笑った。
一呼吸置いて彼は着ているグレーのコートのポケットから小さなブルーの包み紙で包まれた箱を取り出した。
「はい、あげる。家で渡してもいいんだけど、酔い潰れる可能性がかなり高いからプレゼント」
「やっぱり酔い潰れると思ってるんだ。ありがとうなんだろう?」
「今開けてみて」
言われたとおりに包み紙をそっと開けた。包み紙の中には白い箱がはいっていて、英語で何やら店名みたいなのが刻印されている。
箱のふたをとると中にはシルバーのネックレスが入っていた。手に取るとモチーフがキラキラと光っていた。
「綺麗、すごく綺麗。つけてみていいかな」
彼が和かにうなづいた。首につけると首元でキラッと光ってとても綺麗だった。
「ありがとう、凄く嬉しい。でも何で誕生日でもないのにプレゼントくれたの?あっ」
私は自分で自分の馬鹿さ加減に気がついた。今日クリスマスイブなんだ。彼はそんな私をみてヒッヒッヒッと笑っている。
「そうだ、今日はクリスマスイブなんだ。カップルが意味もなくプレゼント交換会してイチャつく日なんだった」
「何か凄く偏見が入っとるな」
彼はそう言ってまた穏やかに笑った。
「さっきラブホテル街通り過ぎた時、どこも道路まで行列できてて、おまけにその様子テレビカメラで撮影されてて、東京の人ってうちの村の人と同じでちょっと頭おかしいなって思ってたけど、自分が一番おかしかった!」
「道路に並んでる奴らは本当に頭おかしいぞ」
「本当にごめん、何にも用意してない」
私は項垂れた。本当にショックだった、どうして忘れてたのだろう。
「亜紀が頭から抜けてることわかってたから。クリスマスって言っても近所の美味しいケーキ屋で買って食べようかなって嬉しそうに語られただけだし、俺と過ごしたいとか一切言及しなかったから」
彼がそう言って笑ったので私も愛想笑いした。
今まで子供達にプレゼントをあげることはあっても、35年間生きてきて恋人といちゃつくクリスマスを体験した事がなかったから頭からスッポリ抜けていだなんて、言えるわけがない。
でも何でクリスマスイブって恋人といちゃついて過ごすの?