第97話 初めて過ごした朝
文字数 1,569文字
しばらく抱きしめられていたら丸山さんが言った。
「俺はこの前は下心100%で抱きしめてたんだけど」彼の話に続きがあったんだろうけど、凄く気になって割り込んでしまった
「下心って具体的には?」
「……それ聞く?だから、意外と胸あるなとか肩細いなとか、首筋エロいから口でなぞりたいなとか亜紀ちゃんの匂い好きだなとか」
興味本位から聞いたのを後悔した。彼は聞いたら大抵のことは包み隠さず正直に答えてくれる。いいのか悪いのかわからないけれど。
「うわっ最悪、あんな短時間にそんな事考えてたんだ」と言うと彼は得意満面にこう言った。
「いや、でも今日は50%は愛で抱きしめてる」
彼が冗談を言って明るくしようとしているのがわかる、私もその冗談に乗ろう。
「じゃあ残り50%は?」「そんなの決まってんだろ?下心だよ」「もう嫌だ」と二人で笑った。
彼が抱きしめていた私を離して、隣に立つと髪を撫でて瞳をじっと見つめてきた。
「今みたいにずっと馴れ馴れしく喋って、その半分敬語の半分馴れ馴れしい不思議な喋り方止めて、俺たち恋人同士でしょ?」
「うん」と頷くと彼は頬にキスした。
優しい夜風が吹きお互いの髪を少し揺らしている。
「あともう一つあるんだ」と彼が言ったので「何?」と聞くと「もう丸山さんって呼ぶのやめて欲しいな」と言われた。
「実は私も何か変だなって思ってた、敬語使って喋るのも、丸山さんって名字呼びしてるのも。もっと近くにいる人なんだけどなって」
「じゃあそれもっと早く俺に教えて、俺どれだけこのタイミングを見計らってたか」
「言っていいのかわかんなくて」「俺だって言っていいのかわかんなかったよ」
二人で目を見合わせた。
彼はまた私の髪を撫でてさっきと反対側の頬にキスした。
「キス魔なの?」そう笑うと
「理性が飛ばない範囲で恋人との触れ合いを楽しんでるだけ」と飄々と言った。
「もう、じゃあ何て呼んで欲しいんですか?じゃなくて、何て呼んで欲しいの?」
「俺の名前はしげあきだけど、あきは亜紀ちゃんと被るから、しげって呼んで」
「あんまり人のこと呼び捨てで呼ぶの好きじゃないんだよね」
「ホワイトアンドブラックも全員君付けしてるからな」と彼は笑った。
「小学校一年生の時の先生に人の名前は大切なものだから家族以外の人は呼び捨てしてはいけませんって洗脳されて、長年の習慣だから変えられないんだよね」
「俺は自分の恋人をちゃん付で呼んだり呼ばれたりするの嫌なんだけど、しょうがないから合わせてやるよ」
彼がまた髪を撫でてきた。
「別に……私はどう呼んでもらっても構わないんだけど、じゃあ、しげくんかしげちゃんかどっちがいい?」
「どっちでもいいよ」と笑ったので「しげくんは学校の一個下の子にいるんだよね、ちょっとやんちゃすぎる子だし被ると嫌だからしげちゃんにするね」と言った。
「じゃあ早速しげちゃんって呼んでチュってして」と彼が調子に乗って来たので、「それどのお店のサービス?」と言うと「しまった」という顔をした、本当にそうだったらしい。
五秒の沈黙の後、彼は事実を認めた。
「いや、本当に違うんだよ。亜紀ちゃんと出会った数日後に世話になってるプロデューサーと付き合いで行かされたキャバクラがそういうサービスしてたのふと思い出したんだよ。俺はキャバクラは本当に好きじゃないんだよ」
彼の気まずそうな顔を見ていると思わず笑みが溢れた。
「付き合ってない時だから何しようがどんな店行こうが別にいいから」
そう言っても彼は何とも言えない気まずい表情をした。そりゃあそんなこと恋人にバレたくなかったよね。
今日ホテルに泊まらなくてよかった、彼がいてくれるお陰で悲しみのどん底には落ちなくて済んだ。
「俺はこの前は下心100%で抱きしめてたんだけど」彼の話に続きがあったんだろうけど、凄く気になって割り込んでしまった
「下心って具体的には?」
「……それ聞く?だから、意外と胸あるなとか肩細いなとか、首筋エロいから口でなぞりたいなとか亜紀ちゃんの匂い好きだなとか」
興味本位から聞いたのを後悔した。彼は聞いたら大抵のことは包み隠さず正直に答えてくれる。いいのか悪いのかわからないけれど。
「うわっ最悪、あんな短時間にそんな事考えてたんだ」と言うと彼は得意満面にこう言った。
「いや、でも今日は50%は愛で抱きしめてる」
彼が冗談を言って明るくしようとしているのがわかる、私もその冗談に乗ろう。
「じゃあ残り50%は?」「そんなの決まってんだろ?下心だよ」「もう嫌だ」と二人で笑った。
彼が抱きしめていた私を離して、隣に立つと髪を撫でて瞳をじっと見つめてきた。
「今みたいにずっと馴れ馴れしく喋って、その半分敬語の半分馴れ馴れしい不思議な喋り方止めて、俺たち恋人同士でしょ?」
「うん」と頷くと彼は頬にキスした。
優しい夜風が吹きお互いの髪を少し揺らしている。
「あともう一つあるんだ」と彼が言ったので「何?」と聞くと「もう丸山さんって呼ぶのやめて欲しいな」と言われた。
「実は私も何か変だなって思ってた、敬語使って喋るのも、丸山さんって名字呼びしてるのも。もっと近くにいる人なんだけどなって」
「じゃあそれもっと早く俺に教えて、俺どれだけこのタイミングを見計らってたか」
「言っていいのかわかんなくて」「俺だって言っていいのかわかんなかったよ」
二人で目を見合わせた。
彼はまた私の髪を撫でてさっきと反対側の頬にキスした。
「キス魔なの?」そう笑うと
「理性が飛ばない範囲で恋人との触れ合いを楽しんでるだけ」と飄々と言った。
「もう、じゃあ何て呼んで欲しいんですか?じゃなくて、何て呼んで欲しいの?」
「俺の名前はしげあきだけど、あきは亜紀ちゃんと被るから、しげって呼んで」
「あんまり人のこと呼び捨てで呼ぶの好きじゃないんだよね」
「ホワイトアンドブラックも全員君付けしてるからな」と彼は笑った。
「小学校一年生の時の先生に人の名前は大切なものだから家族以外の人は呼び捨てしてはいけませんって洗脳されて、長年の習慣だから変えられないんだよね」
「俺は自分の恋人をちゃん付で呼んだり呼ばれたりするの嫌なんだけど、しょうがないから合わせてやるよ」
彼がまた髪を撫でてきた。
「別に……私はどう呼んでもらっても構わないんだけど、じゃあ、しげくんかしげちゃんかどっちがいい?」
「どっちでもいいよ」と笑ったので「しげくんは学校の一個下の子にいるんだよね、ちょっとやんちゃすぎる子だし被ると嫌だからしげちゃんにするね」と言った。
「じゃあ早速しげちゃんって呼んでチュってして」と彼が調子に乗って来たので、「それどのお店のサービス?」と言うと「しまった」という顔をした、本当にそうだったらしい。
五秒の沈黙の後、彼は事実を認めた。
「いや、本当に違うんだよ。亜紀ちゃんと出会った数日後に世話になってるプロデューサーと付き合いで行かされたキャバクラがそういうサービスしてたのふと思い出したんだよ。俺はキャバクラは本当に好きじゃないんだよ」
彼の気まずそうな顔を見ていると思わず笑みが溢れた。
「付き合ってない時だから何しようがどんな店行こうが別にいいから」
そう言っても彼は何とも言えない気まずい表情をした。そりゃあそんなこと恋人にバレたくなかったよね。
今日ホテルに泊まらなくてよかった、彼がいてくれるお陰で悲しみのどん底には落ちなくて済んだ。