第244話 深夜の訪問者
文字数 1,370文字
私が知らないはずのお兄さんの名前を呼んだのでその場が急に静まり返った。
先生は五秒間私を見つめ直ぐに思い出してくれた。
「山浦さん!こんな所で再会できるなんて嬉しいよ」
「先生私も会えて嬉しいです。でも何でここに?何でだ?どうして」
パニックになっている私の横で重ちゃんが不機嫌そうにこう言った。
「落ち着け、何?兄ちゃんのこと知ってるの?」
「兄ちゃん?本当に先生の弟さんなの?ちょっと余りにも性格が」「この状況で兄弟じゃないって方が不自然だろ?兄ちゃんとどういう関係なの?」
パニックで言葉が詰まっている私の代わりに先生が昔と変わらない穏やかな調子で答えた。
「山浦さんは俺が群馬の大学にいた時の教え子だよ」
彼は点と点を線でつなげたようだ。
「もしかしてよく話に出てくる大学の時のゼミの先生?」
「うん、本当にお世話になったの……まさか兄弟だったなんて」
彼が呆れ果ててこういった。
「何で気づかなかったんだよ!わかってるようでわかってないな。兄ちゃん大学教授って言ってあったよな?」
「いやだって、丸山さんって結構沢山いるしさ……」
二人の顔を見比べると似ていた。
「こんなに似てたのに、そう言えば義政先生の苗字も丸山だった。どうして今まで気づかなかったんだろう」
「本当に亜紀は賢いのか馬鹿なのかよくわかんねぇよ」彼は怒ったように吐き捨てた。そう思われて当然だ、どうして今まで気がつかなかったんだろう。
「でもいいこと教えてやる、亜紀の家にあった喪中葉書見てた時に、丸山義政宛の葉書見つけて、あー同姓同名かって俺はスルーしたからな」
「賢いのか馬鹿なのかわからないのどっちなのよ」
二人で顔を見合わせて笑った。
そんな私達の様子を見てお母さんは唇を噛みあからさまに不機嫌を表に出している。
先生は怪訝な表情で「山浦さん本当にこんな奴と付き合ってるの?」と尋ねた。私が答える前に彼が「そうだよ、何か悪い?」と言い返した。
「お兄ちゃんの教え子だったの、世の中狭いわね」とお母さんは嫌そうた。
先生はやっぱりそんなお母さんの様子を察して私のフォローを入れてくれた。
「母さん、彼女は本当に真面目でしっかりしてる子だよ、顔も見れたからもういいだろ?下に夏海が車で迎えに来てるから、もう帰ろう」
夏海さんの名前に思わず顔が綻んだ。
「夏海さん」と呟くと彼が「今度会わせてやろうか」と得意気に言った。
「嫌よ、まだ帰らない」
お母さんは自分の意思を通そうとする。どうしても私を遠ざけたいようだ。その為にはまだまだ攻撃が足らない。
「山浦さんのことはよく知ってるけれど、本当にしっかりしたいい子だから何の心配もないよ」
私はそんなに立派な人間ではないけれど先生の度重なるフォローに涙が出そうになる。
重ちゃんは「兄ちゃんより俺が1番わかってるよ」とムスッとした。
お母さんは子供の様に首を大きく横に振った。「ダメ!まだ亜紀さんに聞くこといっぱいあるんだから」
「わかった、俺が代わりに聞いとくからとにかく帰って。友紀がバアバに会いたいって車に乗ってるよ」
友紀ちゃんは先生の一番下の子た、いつも年賀状に写真と名前が載っている。
お母さんの表情が一変したのがわかった。
「友紀ちゃんがいるなら早く言ってよ、じゃあ行くわね」とこちらを振り向くことなく行ってしまった。
孫の威力って凄い。本当に目の中に入れても痛くないんだ。
先生は五秒間私を見つめ直ぐに思い出してくれた。
「山浦さん!こんな所で再会できるなんて嬉しいよ」
「先生私も会えて嬉しいです。でも何でここに?何でだ?どうして」
パニックになっている私の横で重ちゃんが不機嫌そうにこう言った。
「落ち着け、何?兄ちゃんのこと知ってるの?」
「兄ちゃん?本当に先生の弟さんなの?ちょっと余りにも性格が」「この状況で兄弟じゃないって方が不自然だろ?兄ちゃんとどういう関係なの?」
パニックで言葉が詰まっている私の代わりに先生が昔と変わらない穏やかな調子で答えた。
「山浦さんは俺が群馬の大学にいた時の教え子だよ」
彼は点と点を線でつなげたようだ。
「もしかしてよく話に出てくる大学の時のゼミの先生?」
「うん、本当にお世話になったの……まさか兄弟だったなんて」
彼が呆れ果ててこういった。
「何で気づかなかったんだよ!わかってるようでわかってないな。兄ちゃん大学教授って言ってあったよな?」
「いやだって、丸山さんって結構沢山いるしさ……」
二人の顔を見比べると似ていた。
「こんなに似てたのに、そう言えば義政先生の苗字も丸山だった。どうして今まで気づかなかったんだろう」
「本当に亜紀は賢いのか馬鹿なのかよくわかんねぇよ」彼は怒ったように吐き捨てた。そう思われて当然だ、どうして今まで気がつかなかったんだろう。
「でもいいこと教えてやる、亜紀の家にあった喪中葉書見てた時に、丸山義政宛の葉書見つけて、あー同姓同名かって俺はスルーしたからな」
「賢いのか馬鹿なのかわからないのどっちなのよ」
二人で顔を見合わせて笑った。
そんな私達の様子を見てお母さんは唇を噛みあからさまに不機嫌を表に出している。
先生は怪訝な表情で「山浦さん本当にこんな奴と付き合ってるの?」と尋ねた。私が答える前に彼が「そうだよ、何か悪い?」と言い返した。
「お兄ちゃんの教え子だったの、世の中狭いわね」とお母さんは嫌そうた。
先生はやっぱりそんなお母さんの様子を察して私のフォローを入れてくれた。
「母さん、彼女は本当に真面目でしっかりしてる子だよ、顔も見れたからもういいだろ?下に夏海が車で迎えに来てるから、もう帰ろう」
夏海さんの名前に思わず顔が綻んだ。
「夏海さん」と呟くと彼が「今度会わせてやろうか」と得意気に言った。
「嫌よ、まだ帰らない」
お母さんは自分の意思を通そうとする。どうしても私を遠ざけたいようだ。その為にはまだまだ攻撃が足らない。
「山浦さんのことはよく知ってるけれど、本当にしっかりしたいい子だから何の心配もないよ」
私はそんなに立派な人間ではないけれど先生の度重なるフォローに涙が出そうになる。
重ちゃんは「兄ちゃんより俺が1番わかってるよ」とムスッとした。
お母さんは子供の様に首を大きく横に振った。「ダメ!まだ亜紀さんに聞くこといっぱいあるんだから」
「わかった、俺が代わりに聞いとくからとにかく帰って。友紀がバアバに会いたいって車に乗ってるよ」
友紀ちゃんは先生の一番下の子た、いつも年賀状に写真と名前が載っている。
お母さんの表情が一変したのがわかった。
「友紀ちゃんがいるなら早く言ってよ、じゃあ行くわね」とこちらを振り向くことなく行ってしまった。
孫の威力って凄い。本当に目の中に入れても痛くないんだ。