第163話 師走の夜
文字数 1,826文字
ベッドにうつ伏せで寝ている私の隣で彼は申し訳なさそうに髪を撫でながら横になっていた。
「亜紀ごめんな、腰痛めてるの忘れてた」
「大丈夫、大分痛みも引いてきたし後十五分ぐらい横になってれば完全に回復しそう」
「張り切りすぎた。ごめんな」
彼が余りに落ち込み可哀想になってきてしまったので、彼に向かって手を伸ばした。
「じゃあ手握って、しげちゃんのことどれだけ好きか表現してあげる」
握られた手を思いっきり握り返した。
「それだけしか俺のこと愛してないのか」と彼が煽ってきたので、「今ので精一杯これ以上やると腰痛めそう」と言うと「十分伝わってるから、普通に繋ごうよ」と宥めた。
「ちょっと横向く」と言い体勢を横向きにすると彼が繋いでいた私の右手を持ち上げてマジマジと見た。
「ネイルしてない女の人初めて見たよ」
「ネイルしてたら、黒板に板書する度に爪が擦れて、キーってなるから」
そう言うと彼はしかめっ面をして「安易に再生できるあの音最強だな」と呟いた。
「でしょ?」と笑うと「じゃあこれは何?」
私の右手の親指と中指のペンダコで硬くなった所を触った。
慌てて手を引っ込めようとするけど、彼は手を離してくれない。「あーもうそれペンダコ」「じゃあこれは?」と彼は私の右手の親指と人差し指の腹のカサカサした所を触った。
「あーもうやめて、それチョークで荒れた所。手荒れをマジマジと見られるなんて、これどんな羞恥プレイなの?!」そう叫んだが彼は「羞恥プレイはこれからだよ、絶対に電気消さないから」と意味不明なことを言い、まだ手を離してくれない。
「こっちの左手は何もないから、右手と左手交換しない?」そう持ちかけてみたけれど、「駄目」と一蹴された。
「荒れた手を見たい変態なの?」
「亜紀の今まで生きてきた軌跡が出てるなと思って」
彼はそう言いながらもまだ手を見つめている。
「何それ、変な人」
思わず吹き出した。
「じゃあ今まで関係を持った女の人の手はどんな手だったの?」
「手なんかマジマジと見たことなかったな」「何でじゃあ今みようと思ったの?」
彼は申し訳なさそうに言った。
「何かカサカサして硬いところない?ってずっと思ってて」
一瞬を隙をつき手を離した。
「あーもう最悪二度と右手繋がないから」
彼は私の頭を撫でた。
「もう一回右手触らせてくれるか、へそ周り見せてくれるかどっちにする?」
「何でいつも極端な二択で自分の言うこと聞かそうとするの?」「駄目?」「なんかそうやって可愛く甘えてくるのもそうだし、本当に末っ子だよね」
「よくわかんないけど、はい右手ちょうだい」渋々彼に右手を差し出すと、何故だかその右手を握らず急に私のパジャマの上着とシャツをめくった。
「やっぱりヘソにするわ」
「ちょっと!」
慌てて起き上がると「いいヘソしてるな」と彼が余裕の表情で笑った。
「ヘソにいいも悪いもあるの?」
「あるよ、へそっていうのはな軽く見られがちだけどな」
彼がヘソについて熱く語り出したので笑いながら真剣な話を聞いていた。
五分ぐらい経った頃
「もう腰は痛くない?」と聞かれたので「うん、激しく動かなければ大丈夫かな」と答えた。
「大丈夫だよ。今日は亜紀に腰使わせないから」
何のことがいまいちピンとこずに「そう?」と言って流した。
「あーもうわかってるふりして全然わかってねぇだろう?」
「何のことかわかんないけど、わかってる。大丈夫」
そう弁明したけれと彼の顔は余計に引きつった。正直腰がまだ痛くて他の所まで考えが回らない。一体何についてなんだろう。
暫くすると彼の表情が緩んだ。
「俺はな、普通の男がげっそりするようなこんな場面でも亜紀のこと愛しく思ってるから。はい、亜紀がうるさいからちゃんと持ってきたから」
彼がズボンのポケットから小さなラムネのお菓子みたいなものを取り出し私に渡してきた。
「昔、こんな水に溶かしてコーラにするお菓子あったよね」と言いながら受け取ると流石の私でもそれが何か気付いてしまった。
これ、避妊具じゃない?
今まで箱で売っているのしか見たことなかったら全然わからなかった。でもこの中に入ってるものは保健の教科書で見た、絶対そうだ。
頭も体もそれを持ったままフリーズしていると彼が「ようやく今の状況に気がついたの?」と呆れながらため息をついた。
「亜紀ごめんな、腰痛めてるの忘れてた」
「大丈夫、大分痛みも引いてきたし後十五分ぐらい横になってれば完全に回復しそう」
「張り切りすぎた。ごめんな」
彼が余りに落ち込み可哀想になってきてしまったので、彼に向かって手を伸ばした。
「じゃあ手握って、しげちゃんのことどれだけ好きか表現してあげる」
握られた手を思いっきり握り返した。
「それだけしか俺のこと愛してないのか」と彼が煽ってきたので、「今ので精一杯これ以上やると腰痛めそう」と言うと「十分伝わってるから、普通に繋ごうよ」と宥めた。
「ちょっと横向く」と言い体勢を横向きにすると彼が繋いでいた私の右手を持ち上げてマジマジと見た。
「ネイルしてない女の人初めて見たよ」
「ネイルしてたら、黒板に板書する度に爪が擦れて、キーってなるから」
そう言うと彼はしかめっ面をして「安易に再生できるあの音最強だな」と呟いた。
「でしょ?」と笑うと「じゃあこれは何?」
私の右手の親指と中指のペンダコで硬くなった所を触った。
慌てて手を引っ込めようとするけど、彼は手を離してくれない。「あーもうそれペンダコ」「じゃあこれは?」と彼は私の右手の親指と人差し指の腹のカサカサした所を触った。
「あーもうやめて、それチョークで荒れた所。手荒れをマジマジと見られるなんて、これどんな羞恥プレイなの?!」そう叫んだが彼は「羞恥プレイはこれからだよ、絶対に電気消さないから」と意味不明なことを言い、まだ手を離してくれない。
「こっちの左手は何もないから、右手と左手交換しない?」そう持ちかけてみたけれど、「駄目」と一蹴された。
「荒れた手を見たい変態なの?」
「亜紀の今まで生きてきた軌跡が出てるなと思って」
彼はそう言いながらもまだ手を見つめている。
「何それ、変な人」
思わず吹き出した。
「じゃあ今まで関係を持った女の人の手はどんな手だったの?」
「手なんかマジマジと見たことなかったな」「何でじゃあ今みようと思ったの?」
彼は申し訳なさそうに言った。
「何かカサカサして硬いところない?ってずっと思ってて」
一瞬を隙をつき手を離した。
「あーもう最悪二度と右手繋がないから」
彼は私の頭を撫でた。
「もう一回右手触らせてくれるか、へそ周り見せてくれるかどっちにする?」
「何でいつも極端な二択で自分の言うこと聞かそうとするの?」「駄目?」「なんかそうやって可愛く甘えてくるのもそうだし、本当に末っ子だよね」
「よくわかんないけど、はい右手ちょうだい」渋々彼に右手を差し出すと、何故だかその右手を握らず急に私のパジャマの上着とシャツをめくった。
「やっぱりヘソにするわ」
「ちょっと!」
慌てて起き上がると「いいヘソしてるな」と彼が余裕の表情で笑った。
「ヘソにいいも悪いもあるの?」
「あるよ、へそっていうのはな軽く見られがちだけどな」
彼がヘソについて熱く語り出したので笑いながら真剣な話を聞いていた。
五分ぐらい経った頃
「もう腰は痛くない?」と聞かれたので「うん、激しく動かなければ大丈夫かな」と答えた。
「大丈夫だよ。今日は亜紀に腰使わせないから」
何のことがいまいちピンとこずに「そう?」と言って流した。
「あーもうわかってるふりして全然わかってねぇだろう?」
「何のことかわかんないけど、わかってる。大丈夫」
そう弁明したけれと彼の顔は余計に引きつった。正直腰がまだ痛くて他の所まで考えが回らない。一体何についてなんだろう。
暫くすると彼の表情が緩んだ。
「俺はな、普通の男がげっそりするようなこんな場面でも亜紀のこと愛しく思ってるから。はい、亜紀がうるさいからちゃんと持ってきたから」
彼がズボンのポケットから小さなラムネのお菓子みたいなものを取り出し私に渡してきた。
「昔、こんな水に溶かしてコーラにするお菓子あったよね」と言いながら受け取ると流石の私でもそれが何か気付いてしまった。
これ、避妊具じゃない?
今まで箱で売っているのしか見たことなかったら全然わからなかった。でもこの中に入ってるものは保健の教科書で見た、絶対そうだ。
頭も体もそれを持ったままフリーズしていると彼が「ようやく今の状況に気がついたの?」と呆れながらため息をついた。