第283話 追撃される
文字数 1,428文字
お風呂に入った後、何気なくテレビをつけると長野県内のローカルニュースが放送されていた。
聞いたことがない村のスケート場がもう明日でシーズン営業を終えるらしい。
「もう冬も終わりか」
そう大きな独り言を呟くとスマホを手に取った。
暇なので何気なくマフージャパンを見た、次の瞬間、とんでもない文字が目に飛び込んできた。
「ラビッツ丸山、本命恋人の素顔」
震える手でクリックすると週刊誌の記事そのままのものが出てきた。
時が止まる、これ今何人の村人が目にしているのだろう。
次の瞬間、メールが一通届いた。
「姉ちゃん、インターネットに姉ちゃんと兄ちゃんの記事でてんだけど、凄いな!記念に印刷しといたから!」
エロサイトしかみないはずの智ですら目を通すマフートップページの威力。
おまけに明日、村人が村のPRも兼ねて沢山集まる中、彼とスタッフの人達と職場で会わなくてはいけないという間の悪さ。
床に倒れ込みこれから起こるであろう惨劇を想像し目を閉じた。
遅かれ早かれ村中で噂になる。最速でもう明日なっているかもしれない。
みんな休耕期で暇そうだし。
今まで知らなかったお年寄りの口煩い人達が「ふしだらだ」「教育者失格」とか騒いで学校に乗り込んでくるかもしれない。
後一ヶ月、逃げ切れるのだろうか。
着信音が鳴り渋々目を開けた。
重ちゃんからだった、電話越しの彼の声は陽気でカラッとしている、私は正反対に梅雨のようにジメジメしていた。
「もしもし、マフージャパンのトップページに亜紀との週刊誌の記事出てるよ」
「……見たよ」
「いやー事務所の社員が頼んでトップページに載せて貰ったんだってさ。悪い記事じゃないからイメージアップの為に」
これは偶発的な事故ではなく故意的なものらしい。
「あなたの事務所また背後から撃ってきたんだけど!今度は実弾で!」
「実弾じゃなくて催涙弾ぐらいだろ?」
彼はそう言って笑った。
「この影響力半端ないから!エロサイトしか見ない智も見て、印刷までしたってさっき連絡が」
そう言うと彼はまた笑った。
「印刷するなら、週刊誌買え。そういえばコメント欄にこの間の居酒屋のこと書かれてたんだよね」
ちょうど仕事で使おうと開いていたパソコンでマフージャパンの例の記事を開くとコメント欄を読み上げた。
「つい先日アルバイト先の居酒屋に来て、他のバイト男が転けて彼女の方にトマトリキュールぶっかけちまったが、彼女の白いセーター真っ赤になってたけれど笑って許してくれた。神か何かかと思った」
「好感度上がったな。情けは人のためならず、自分の為なりだよ」と彼は得意気に笑った。
あの時バイトの彼を怒ろうとしていたことはすっかり忘れて彼はとても上機嫌だ。
「直ぐ下のコメント読んであげる。「友人が昔この人と飲み会で知り合って、遊びで付き合うならいいよって言われて、二種関したら本当に連絡が取れなくなったそうです」だって。せっかくの良い行いが台無しになってるよ」
「……俺はいつまで過去に囚われなくちゃいけないんだ」
「一生だよ、因果応報だね」
そう言うと電話越しでもわかるぐらい落ち込んでしまった、少し言いすぎたようだ。何か話題を変えよう。
「でもさ、これ今何人の村人に見てるんだろうなって心配にななっちゃってさ」
「何で?別にいいだろう?」
「何か色々噂されたり仕事に支障がでたりしたらどうしようかなって」
「そんなことある訳ないだろ?気にしすぎだよ」
彼はそう断言した。村に住んでいない都会育ちの彼は私の苦悩は理解ができないのだろう。
聞いたことがない村のスケート場がもう明日でシーズン営業を終えるらしい。
「もう冬も終わりか」
そう大きな独り言を呟くとスマホを手に取った。
暇なので何気なくマフージャパンを見た、次の瞬間、とんでもない文字が目に飛び込んできた。
「ラビッツ丸山、本命恋人の素顔」
震える手でクリックすると週刊誌の記事そのままのものが出てきた。
時が止まる、これ今何人の村人が目にしているのだろう。
次の瞬間、メールが一通届いた。
「姉ちゃん、インターネットに姉ちゃんと兄ちゃんの記事でてんだけど、凄いな!記念に印刷しといたから!」
エロサイトしかみないはずの智ですら目を通すマフートップページの威力。
おまけに明日、村人が村のPRも兼ねて沢山集まる中、彼とスタッフの人達と職場で会わなくてはいけないという間の悪さ。
床に倒れ込みこれから起こるであろう惨劇を想像し目を閉じた。
遅かれ早かれ村中で噂になる。最速でもう明日なっているかもしれない。
みんな休耕期で暇そうだし。
今まで知らなかったお年寄りの口煩い人達が「ふしだらだ」「教育者失格」とか騒いで学校に乗り込んでくるかもしれない。
後一ヶ月、逃げ切れるのだろうか。
着信音が鳴り渋々目を開けた。
重ちゃんからだった、電話越しの彼の声は陽気でカラッとしている、私は正反対に梅雨のようにジメジメしていた。
「もしもし、マフージャパンのトップページに亜紀との週刊誌の記事出てるよ」
「……見たよ」
「いやー事務所の社員が頼んでトップページに載せて貰ったんだってさ。悪い記事じゃないからイメージアップの為に」
これは偶発的な事故ではなく故意的なものらしい。
「あなたの事務所また背後から撃ってきたんだけど!今度は実弾で!」
「実弾じゃなくて催涙弾ぐらいだろ?」
彼はそう言って笑った。
「この影響力半端ないから!エロサイトしか見ない智も見て、印刷までしたってさっき連絡が」
そう言うと彼はまた笑った。
「印刷するなら、週刊誌買え。そういえばコメント欄にこの間の居酒屋のこと書かれてたんだよね」
ちょうど仕事で使おうと開いていたパソコンでマフージャパンの例の記事を開くとコメント欄を読み上げた。
「つい先日アルバイト先の居酒屋に来て、他のバイト男が転けて彼女の方にトマトリキュールぶっかけちまったが、彼女の白いセーター真っ赤になってたけれど笑って許してくれた。神か何かかと思った」
「好感度上がったな。情けは人のためならず、自分の為なりだよ」と彼は得意気に笑った。
あの時バイトの彼を怒ろうとしていたことはすっかり忘れて彼はとても上機嫌だ。
「直ぐ下のコメント読んであげる。「友人が昔この人と飲み会で知り合って、遊びで付き合うならいいよって言われて、二種関したら本当に連絡が取れなくなったそうです」だって。せっかくの良い行いが台無しになってるよ」
「……俺はいつまで過去に囚われなくちゃいけないんだ」
「一生だよ、因果応報だね」
そう言うと電話越しでもわかるぐらい落ち込んでしまった、少し言いすぎたようだ。何か話題を変えよう。
「でもさ、これ今何人の村人に見てるんだろうなって心配にななっちゃってさ」
「何で?別にいいだろう?」
「何か色々噂されたり仕事に支障がでたりしたらどうしようかなって」
「そんなことある訳ないだろ?気にしすぎだよ」
彼はそう断言した。村に住んでいない都会育ちの彼は私の苦悩は理解ができないのだろう。