第253話 深夜の訪問者
文字数 893文字
「先生!その名前出さないで、こういう些細なことですぐ怒るから」
彼は「些細なことじゃないから」とブスッとしている。
「いやだから塚田君はイケメンだし、スポーツもできるし、優しいし、少女漫画のヒロインの相手役で出てきそうな人だったから、一目惚れしてかっこいいって四年間好きだったんだけど、向こうは常に彼女いたからそういうのではない。別に付き合ってたわけじゃないんだから」
事実だけを淡々と述べた説明で彼を煙に巻こうと思った。ところが敵は意外な所から現れる。
「山浦さんって塚田君と夜中二人で学校探検してたこともあったよね?」
日本最高峰の大学出身で記憶力のいい先生は、その能力を活かし、楽しそうに実の弟をからかい始めた。人を揶揄うとかそういうことをしない人だと思っていたから正直驚いた、先生にこういう側面もあるんだ。
とういうかそんな事もあったな、先生が言い出すまで忘れてた。
彼の額からピキピキという怒りの音が聞こえてくる。
「何それ?何で男と二人で夜中出かける必要があるの?大学の頃って智と健まだ小学生だろ?」
「……その頃水曜日だけおばちゃんが夜寝かしててくれたんだよね」
「何で曜日まで覚えてるの」
彼はあからさまに不機嫌になった。何で曜日まで覚えてるかと言われると水曜日になると塚田君と会えるかもとウキウキして嬉しかったからだ、懐かしい。
でもそんな事言ったら理不尽な嫉妬に狂う人に何言われるかわからない。
先生は実の弟に対しては結構意地悪をする。
「山浦さんの気持ちが折れた時だって、塚田君家まで迎えに来て二人で学校サボって遠くに行ったって聞いたけど」
……何で先生それを知っているの……夏海さんか……そりゃあ夫婦だもんね、学生の情報交換くらいするよね……
彼が怒りを通り越して無表情になっていた。
「別に付き合ってたわけではないから、何した訳じゃないしいいでしょ?」
「当たり前だ、俺以外の男とキスしたことないだろ?」
彼は私が嫌がることをわざと言った。どうにも苛つきを止められないんだろう。
「ちょっと!」
私が怒ってもどこ吹く風だ。
「あー塚田君のことだけネタにもせずに話にも出してこないから変だと思ってたんだよ」
彼は「些細なことじゃないから」とブスッとしている。
「いやだから塚田君はイケメンだし、スポーツもできるし、優しいし、少女漫画のヒロインの相手役で出てきそうな人だったから、一目惚れしてかっこいいって四年間好きだったんだけど、向こうは常に彼女いたからそういうのではない。別に付き合ってたわけじゃないんだから」
事実だけを淡々と述べた説明で彼を煙に巻こうと思った。ところが敵は意外な所から現れる。
「山浦さんって塚田君と夜中二人で学校探検してたこともあったよね?」
日本最高峰の大学出身で記憶力のいい先生は、その能力を活かし、楽しそうに実の弟をからかい始めた。人を揶揄うとかそういうことをしない人だと思っていたから正直驚いた、先生にこういう側面もあるんだ。
とういうかそんな事もあったな、先生が言い出すまで忘れてた。
彼の額からピキピキという怒りの音が聞こえてくる。
「何それ?何で男と二人で夜中出かける必要があるの?大学の頃って智と健まだ小学生だろ?」
「……その頃水曜日だけおばちゃんが夜寝かしててくれたんだよね」
「何で曜日まで覚えてるの」
彼はあからさまに不機嫌になった。何で曜日まで覚えてるかと言われると水曜日になると塚田君と会えるかもとウキウキして嬉しかったからだ、懐かしい。
でもそんな事言ったら理不尽な嫉妬に狂う人に何言われるかわからない。
先生は実の弟に対しては結構意地悪をする。
「山浦さんの気持ちが折れた時だって、塚田君家まで迎えに来て二人で学校サボって遠くに行ったって聞いたけど」
……何で先生それを知っているの……夏海さんか……そりゃあ夫婦だもんね、学生の情報交換くらいするよね……
彼が怒りを通り越して無表情になっていた。
「別に付き合ってたわけではないから、何した訳じゃないしいいでしょ?」
「当たり前だ、俺以外の男とキスしたことないだろ?」
彼は私が嫌がることをわざと言った。どうにも苛つきを止められないんだろう。
「ちょっと!」
私が怒ってもどこ吹く風だ。
「あー塚田君のことだけネタにもせずに話にも出してこないから変だと思ってたんだよ」