第509話 今日は休日?

文字数 800文字

 昼、12時くらいに目が覚める。隣りの居間で音がする。
 あれ、なんで家人がいるんだろう? ああ、今日は文化の日で休みなんだっけ、世間は。
 福が何かニャアニャア言いながらこっちを見てる。タコ糸持ったら逃げた。でも気になるらしい。こわごわ、枕元に来て、またニャアニャア言う。遊びたいんだけど、こわい。福も、どうしていいかわからないんだな…。

 なんとなく撫でたり、微妙な距離感保ちながら、12時半になる。ラーメンだ、地獄ラーメンだ。
 起きて、着替え始める。家人が出て行った。
 パンツはきながらベランダの窓から外を見たら、家人が歩いていく後ろ姿が見えた。
 あれ、正装してどこへ行くんだろう。いい加減この生活にイヤになって、出て行くのだろうか。
 まぁ、とにかくラーメンを食べに行こう。顔を洗って、自転車に乗る。
 ラーメン屋でカレンダー見たら、今日は11月2日だった。あ、今日は休日じゃないんだ。
 近所の銀行に勤めている家人は、昼の休憩はいつも家に帰ってくる。休憩時間が終わって、彼女は職場へ戻るところだったんだ。

 しかし、気持ちだけでも、「今日は休日だ」と思うと、なんだか嬉しい。ぼくは仕事があるけれども。世間が休日だと、ぼくはオマケで働くような気になって、気分的に楽である。
 そうだ、オマケで働くのだ。

 今朝の、明け方までの電話、家人に聞かれていたのだろうか、と思った。あるいは、ぼくの身体から誰かを好きなった時に発散されるであろう無数のハートマークの情熱のオーラが出ていようとも、それはごまかしようがない。
 ちゃんと、向き合います。

 しかしほんとに冬模様の空になってきた。空気も風も、またぞろ冬の到来。
 空も空気も風も、自分が冬だと自覚もしていないだろうに。人間が言葉で「冬」とし、風だの空気だのと名称つけて、表現してる。
 必要だったのだ、言葉が。

 きっと大丈夫です。40回も、この冬を生きてきたんだから。
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