第542話 太陽、月、

文字数 329文字

 太陽は、現実を強固に映し出して、影も強くつくって、その町なり砂漠なりを、歩くしかなかった。
 そう思わせてくれた、太陽。
 ここで働け、ここで生きろ、ここに根を下ろせ、と。

 夜、月がいた。
 昼間の身体的活力、ある種の思い込みが霧散する。
 なんだかザワザワするなぁ、と窓あけたら、満月だったりした。
 ここで生きろも根を下ろせも働けも、どうでもよくなった、夜の月。

 朝も、まだ月はいた。東の太陽、西の月。
 朝の月は、かよわい。
 たまに、図々しいほどに「デン」といる月もいる。
 でも、たいていが、消え行く刹那さをもっている。

 ところで、地球さん。どうですか、最近、調子は。
 ニンゲンに、だいぶ、やられましたか。
 顔つきが、ちょっと変わりましたよ。

 どうか、ご自愛を。
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