第265話 期間従業員日記(31)

文字数 1,294文字

 毎年、夏が近づくと、どうもぼくは一気にお金がなくなる。
 なぜか? どういうわけか、お酒を飲む機会がこの時期に集中するからだ。
 もう、そういうサイクルになっているらしい。

 これは非常に個人的なことなので、興味の無い方は飛ばして下さい。
 しかしブログという土台の形態で、個人的なこと以外のことがあるのだろうか?

「決まったよ、飲み会。7月1日。」
 チームリーダーが言った。
 7月1日。前職場の飲み会に誘われて、「空けといて下さい」と言われたのが、たしかその日だったのでは…。
 でもダブらないで済みそうである。ただ、その2つの飲み会の場所は、同じ丸栄の屋上のビアガーデンである。

 7月6日~10日まで、愛知に行きます。会おうよ! とメールをくれたのは、期間従業員だったS君。彼とは、アート的な話ができる意味で貴重な人物なので、実に楽しみ。彼のつくったワンちゃんのお洋服は、うちの近所の商店街の一角で売られている。
 ぼくの名前でお店を予約していいッスか!? いいスか!? とメールにあったので、いいッスよ~、と返信。おいしいビールが飲めそうである。

「かめ君!お~い、かめちゃん!」と作業前に声をかけてくれた前職場の正社員のMさん。「明日、5時、田原駅!」
 Mさんはナイス・ミドルで素晴らしく直線的な人なので、一緒に飲んでいてとても楽しい。奥さんのスーちゃんも待っていてくれてるみたい。明日はMさん邸で、酒盛りである。先週うかがう予定だったのが、ぼくの風邪のために延長させてしまった。

 翌日には、ブログを通じて知り合い、現実に会ったことのある唯一の人、hiroさんと、昼間に会うはず。おいしいビールの飲めるお寿司屋さんに案内したい。もっともhiroさんは夜には仕事に向かうみたいだから、せいぜいジョッキ1杯がいいところだろう。hiroさんは、とにかく立派な人である。大切にしたい人である。

 そろそろ、大分から、前々職場で一緒だったA君も来るような予感がする。
 A君は、10年正社員として勤めたこの会社を辞め、オーストラリアへ行ってファイヤーダンスをやっていた人である。「こういう人間(職場の中で)になれ、というようなことを言われ始め、そんな人間にはなりたくない、と思ったのも、彼が会社を辞めた理由のひとつである。やっぱり正直に生きている好青年で、こういう人こそ、優良企業は辞めさせてはならないはずだった。こないだ行ってきたという、バリ島の話を聞くのが楽しみである。

 正社員登用試験に落ちてしまったY君からも誘われている。
 この会社の基礎体質として、「ヒトはボルトと同じ」がある。冷たいのである、はっきり言って。ボルトとは、ネジみたいなもので、「部品箱からボルト(人間)が落ちても、拾わなくていいよ、いっぱいボルトはあるから」これが「従業員ボルト説」。

 それにしても。
 下からの突き上げがない会社は、滅びるよ。上から言われることばかりを尊ぶ人たちをつくりあげたシステム、それは素晴らしい。
 しかし、人をないがしろにすることは、いずれ、人からないがしろにされるだろう。
 早く、逃げなくちゃ。(どこへ?)
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