第227話 アンネローゼ・シュミットさんのモーツァルト・ピアノ協奏曲全集

文字数 610文字

 低価格につられて買ったこのCDだけれども、思いのほか良い。
 いーっぱいモーツァルトはエア・チェックしてきたし、いろんな演奏者の同じ曲を聴いてきましたが、聴いていて、「ん?」という演奏もありました。違和感、ですね。

 ところが、このアンネローゼ・シュミットさんのピアノは、まったく「ん?」がない。
 無難路線でもない。しっかり、モーツァルトを聴かせてくれます。淡々と、さりげなく、とでもいうのか。
 ふっと何気なく気づくと、あ、モーツァルトだ。気づくまで、じーっと浸透しているみたい、自分の耳を通して、気持ちの奥へ。
 いくら低価格とはいえ、5670円は、いささか勇気の要る買い物だった。
 でもこれは正解だったと素直に思う。

 モーツァルトの才能の集大成がピアノコンチェルトにある、という話もあるくらいだから、一家に一枚(9枚組だけど)、この全集はあっていいのではないかと思ってしまうくらいである。ほんとにいいと思う。
 このCDに付いている解説書によると、シュミットさんはブロンドの美貌の持ち主で、1970年代、いわゆる「ジャケ買い」をした人々も少なくなかったらしい。
 LPレコードのジャケットにシュミットさんがいたんでしょうね。
 このCDにはシュミットさんの御姿はありませんが、それにしてもいい演奏だと思います。

 クルト・マズアさん指揮、ドレスデン・フィルハーモニー管弦楽団。
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