第846話 いわし玉

文字数 393文字

 いきつけの近所の魚屋に、仕事帰りに行く。
「いわし玉、できてるよ。」魚屋のおとうさんが言う。
「あ、下さい。」

 いわしをすり潰したものに、昆布やニンジンが細かく入っていて、お好み焼きを厚いおせんべいくらいの形状にさせた、「いわし玉」。
 暖かく、なんだか身体が喜びそうで、美味しい。
 1コ50円。6つ買う。

 もう、いわし玉の季節になったんだ。秋~冬にしか、売られない。
 子どもの頃、近所のお店で「たい焼き」が売られ始めると、なんだか嬉しかった。家の掘り炬燵の中に入れておくと、また一味違う暖かさで、味も美味しくなった。

 お祭りの時なんかに、たい焼き、売っているけれど、炬燵で暖めてから食べたい。出店で買うと、その場で食べなければならない気がして、何かモッタイナイ気になる。

 家の掘り炬燵で暖めて、食べたい。
 焼き芋も。
(もう実家も改築して、掘り炬燵、なくなってしまった。もう、食べれない。)
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