第636話 トモ・遠方ヨリ・キタル。

文字数 623文字

 明日は、奈良のMさんがやって来る。ぼくの住む愛知は豊橋、駅で待ち合わせ、おそらくカラオケに行くのだ。
 いっぱい、いっぱい、歌ってやるのだ。

 Mさんが来るから、よかったら合流しない?みたいなメールを、O君、Hさんに送る。O・H両氏は現在期間従業員。Mさんとぼくは、「元」期間従業員。期間が一致していた時期があって、同じ職場でもあって、なんだかぼくらは仲良くなった。
「もちろん行きますよ」「ぼくみたいなのが行ってもいいんですか」返信がすぐ来る。
 なんかイイなぁ、こういうノリ。

 社会人みたいな枠に、本意不本意に関わらず入ってから、一緒に遊んでくれる友達が少なくなった。
 たぶん多くの人がそうだと思うけど、結婚なんかすると、さらに友達が少なくなる。一緒に外で遊ぶ時間が、家の中への「家庭」の時間に取って代わる。
 結婚には向き不向きがあるし、その相手との関係を、おたがいにふたりでどうやって築いていくかにも依るけれど、ともかく「ヒトリの時間」がなくてはならない。

 で、ぼくはヒトリで外へ行き、きっと生ビールをしこたま飲みながら、O君と狩人の「あずさ2号」などを思い切り歌うのだ。
 Mさんとは、 ' 70年代前後の歌を。Hさんとは、ミスチルの歌を。ぼくはユーミンを…
 こんな話をしよう、あんな話をしよう。
 こうして夢想してワクワクする「ひとりの時間」、かけがえのないひとりの時間、やっぱり大切である。好きである。
 結局みんな、ひとりなんだから。
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