第559話 自由に生きる

文字数 438文字

 できやしない。

 自由は、それじたい、独立して歩けない、かぼそいヤツだ。

 たとえば僕が、自由に生きてるとしよう。(けっこう、そう見られていた。)だが、そう見られるということは、そう見る人から見れば── ややこしいな── その人は不自由を感じて生きているのだ、と僕が感じることになるのだ。

 そして僕は、その「自分を不自由と感じている人」の目によってのみ、僕の自由はそこに確かに「あり」、僕はそこに端を発する自意識によってのみ、自由を「ある」かのように思うのだ。
 鏡だ。 mirror .

 自分を不自由と感じている人は、自分を不自由とするところの枠から飛び越えることができない。それとまったく同様に、自分は自由だと自覚するために、その対比ともいうべき、ある存在、実在によって感ぜられるところの自由も、その存在、実在によってのみ感ぜられるところの自由さの枠を、飛び越えることはできない。

 根源は、同じなのだ。自由も、不自由も。

 だが、…。(飛び越えていこう。)
 意思こそ、自由だ。
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