第634話 プロレスラーとピアニスト

文字数 486文字

 プロレスが好きである。
 ボクシングとかK-1とか、なんだか本気で相手をやっつけちゃうような格闘技より、チャンとお客さんのこと、相手の受け身具合を気にしているプロレスが好きである。

 といって、ショーマン・シップ化され過ぎたアメリカン・プロレスの一部に見られる、筋肉増強剤をあきらかに使っただろうレスラーの肉体は、痛々しい。
 クスリなんか使わずに、しっかり鍛えてほしい。薬物を使った選手の多くは、よく分からない死に方をしている。

 さて、ぼくはプロレスラーとピアニストが好きである。
 どちらも、「なりきる」という点で、同じなのだ。そしてプロレスラーなら台本、ピアニストなら楽譜へ、自分なりの表現方法で技巧を凝らし、観衆、聴衆に「魅せる」「聴かせる」のだ。

 他者のことを意識しながら、自己へ埋没していく、という、対照的な曲線も、悪くないと思う。
 そもそも人生、そういうもののような気もする。
 他者を気にしながら、自分へのこだわりを…

 対照は、グルッと回って、丸い円をつくった後、その終始点、たった1つの「・」に原理的、根本的な接点があるということだ。

 いいのかな、こんなんで。?
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