第782話 変化

文字数 555文字

 トシと共に付随してくる、身体のもんだいだろうか?
 それだけとも、思えない。
 会社というものがあって、そこで、日銭を稼いで、なんだか生活を営むということ。
 そこには人がいて、何だか会話なんかして、孤独みたいな気持ちにもなったりして、それでも、喰らいついてゆこう、と、何か会社に、自分なりの意味とか意義とかを見い出そう、とする姿勢が、今までの自己にはあった。

 が、さほど(以前より、だ)、そういうものへの執着が希薄になってしまった。
 そして「ああ人がいる、自分がいる、ただそれだけなんだ、という意識が強くなってきた。
 会社…仕事に対する、何か「喰らいついてゆこう」とするような、執着というかヤル気というか、そういうものが弱くなった。
 やはり会社というものが、ぼくには、つらいのだ。おかしいのだ。何も始まりはしないのだ、とさえ考えることができてしまう。

 これも、自己にとっての、自己としての、流れである。
 会社に合わない自己がいた。会社に合わせようとすることが、だから、できた自己がいた。
 欺瞞?
 いや、ただ流されてきただけだ。さらに流される。流されてしまう。
 それに対する、ほとんど本能的な、弱った細胞の抵抗。

 これから、どうなるのかな。
 知らない、と細胞が云う。
 この、知らないものに、ぼくは引っ張られていく。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み