第562話 細胞の記憶

文字数 413文字

 なんでも「脳」のせいにする傾向があるような気がするけれど、身体に埋め込まれた太古の記憶的なものの為せるワザも、けっこうあるように思うのだ。

 たとえば、脂。脂はもちろん、カロリーが高いのだ。狩猟や飢饉の時代、飢餓のために死んだ記憶が、どうやらヒトにはあるらしい。
 だからマヨネーズとか、カロリーのある脂成分のモノを食べると、ヒトは美味しく感じるらしい。「これでしばらく死なないで済む」と、身体が喜ぶから。

 人間関係にも、この「細胞の記憶」は、あるように思える。「相性」である。
 おそらくヒトは「群れて」生きてきた。その「群れ」の時代、ともに生きるために共同体をつくっていた同志、仲間。その当時と「同じ匂いのする」人を、現代という時間に、人は嗅ぎ分けてしまうのではなかろうか。
 だから別の共同体をつくっていた人たちとは、慣れていないから(記憶がないから)ぎこちない関係になってしまう。

 人間関係の、相性の良し悪しについて、愚想。
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