第439話 「愛してる」

文字数 384文字

 さて、何故ヒトは「愛してる」と、その相手に打ち明けるのだろうか?
 ぼくは、救いのように、その言葉を口にした。くるしかったから、打ち明けたのである。
 で、その「救い」とは何だったのか。答--- 自分が救われたかったからである。
 その思いを、胸のうちにしまっておくことが、くるしかっただけなのだ。

 火山のマグマ、どうしようもない雨降り、そんな比喩は、マグマや雨に失礼である。
 彼らは、何も考えていないのだから。そのまま噴火し、そのままどしゃ降りになるだけだから。
 しかしヒトは(少なくともぼくは)、自分がラクになりたいから告白をするように思える。とんでもないエゴのように思う。

 というわけで、ぼくは、愛してるという言葉を、自分のためでもなく、相手のためでもなく、確認のためでもなく、成就するためでもなく、そのままの気持ちとして、伝えられるようになりたい、と思うのだった。
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