第204話 白猫は臆病?

文字数 641文字

 わが家にいる、ほとんど家のあるじであるフク君(♂、2歳)は、白猫である。
 おまけにオッド・アイなので、これは将来耳が聞こえなくなる可能性が大きいらしいが、今のところ「ご飯」と言えば「ニャア」と答えるし、「掃除するよ」と言えばトットットと押入れに急いで隠れていくので、まだ聞こえているようである。

 しかしこの子の臆病さには閉口する。
 先日、M夫妻とS君がうちに遊びに来て、6時間ほど居たのだが、その間、ずーっと押入れに隠れ続けていたのである。
 押入れを開けると、警戒心が顔そのものになっていて、じっと布団の向こう側からこっちを見ていた。

 来客が帰ったあと、S君に持っていってもらおうと居間に用意していたオーブン・トースターを発見したフクは、いつもない所にそれがあったせいか、「ビクッ!」としり込みしていた。
「ねこが見るビデオ」の箱をテレビの前に置いといただけで、通りすがりに「ビクッ!」である。こっちがびっくりする。

 知らない人が来ると、とにかくダメである。
「ここはお前の家なんだから、堂々としてていいんだよ」と言っても、ダメである。

 しかし去年、大分県から来た友達にだけは、隠れなかった。何か波長が合ったのだろうか。
 それにしても、友達に、あまり家に来てもらうと、フクは災難だなぁと思ってしまう。
 でも来てもらうんだけどね。
 フク君。何も、人間、みんなワルばっかじゃないよ。
(今はパソコンの椅子を猫パンチでぼくから取って、ふてぶてしく丸くなって寝ている。)

 うむ。やっぱり可愛い。
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