第７３５話　ところで会社は

　毎週200人ほど、期間従業員を受け入れているようである。
　ひと月、4週あったとして、ひと月に800人が雇用されているわけである。
　県内にあるこの会社の工場で働く人たちは、7万人ほどであるらしい。
　そのうちの、3万人だか4万人だかが、期間従業員であるらしい。
　今回、ぼくを含む200人ほどの受け入れを担当した、初老のネクタイ男が言っていた。

　ちょっとした国家でも、できそうな数である。
　なんでこんな大きな企業になったんだろう？
　ただ、国内では、ぼくらのつくる車は、突出して売れているわけではない。
　海外向けの車を多く生産していて、円高やら円安やらの動きによって、利益を得ているだけの話のようである。1円、円高だか何だかになると、何億とかいう利益になるらしい。

　期間従業員を雇うことによって、国からの補助金も、出ていると聞いた。
　うまく、たまたま、回っただけのようである。しっかりした土台はできているようだけれど、それが何なのか、よく分からない。イイことばかりして、こんな大きくなれるものだろうか。
　ぼくは会社にうまく回されるが、そのぼくも会社に対してうまく回りたいと思う。