第255話 葛根湯

文字数 596文字

 風邪のとき、ルルとかベンザエースを飲んでいた時期がある。
 眠くなるだけで、あまり効力がなかった。
 だが家の斜め向かいにある内科医に行き、そこの薬を飲むと治った。漢方薬だった。
 そこの医者が言った、「あなたは平均体温が低い。低体温症です。市販のルルとかは熱を冷まします。あなたは逆に、身体を温めなくてはいけません。冷ますんじゃなくて。」
 ぼくは冷え性であることも知らされた。

「カイゲン」という薬も自分に合っている感じだったが、今は「葛根湯」オンリーである。医者に勧められたわけではないが、葛根湯はいい。
 肩のこりにもいいし、自分の身体が不可抗力的に治癒される感覚がない。
 自分の中に備わっているはずの自然治癒力を、葛根湯が手助けしてくれてる感じ。

 それでも仕事に行かなければならない時、理不尽なほどに効く「バファリン・プラス」を飲む。これは恐ろしいほどに効く。解熱鎮痛薬である。あきらかに身体に悪い。しかし筋肉の痛みはなくなるし、とにかく身体は動けるようになる。

 だが、やはりぼくは葛根湯が好きである。薬は、強圧的に身体を矯正させるものであってはならない。東京にいる友人の医者が、「薬は身体に悪い成分が多い。よっぽど、『これはよく効く薬です』と言ってデンプンを丸めたものを渡したほうがいい。」と言っていたのを思い出す。

 葛根湯も所詮は薬だけど、自分に合っている感じが他の薬と決定的に違うのだ。
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