第497話 ことしの風邪は

文字数 1,170文字

 といっても、もう今年も終わりだが、ノドから来るのだろうか。
 タバコの吸いすぎもイケナイのだろうが、1)ノドが何かおかしくなって、2)背中あたりがコル感じがして、3)なんとなく鼻がムズムズし出して、4)頭がスッキリしなくなって、5)風邪をひく。
 今は背中までしか来ていないが、睡眠効果も願いつつ、カネボウの葛根湯を取り出して、飲んだ。
 p.m. 10:00~11:00で、睡眠が終わった。あとはもう知らない。野となれ山となれである。

 早く、今の仕事から解放されたい。

 実は、先日、ぼくはそれまで2年くらいやっていた「インマニ工程」をクビになったのである。
 理由。「ビニール手袋を付けて、ぼくは、作業できません。」と言ったから。
「インジェクタの中から出る液体が原因で、手がかぶれた」という作業者(非常に疑わしい、捏造されたような「災害」)が出て以来、「インマニ工程」の作業者は、ビニール手袋をまずはめて、その上にピッチリ手袋をはめて、つまり2枚重ねで作業するように、ということになっていた。

 ところが、ビニール手袋なんか付けてやると、手がムレてムレて真っ白になってしまう。作業性も当然落ちる。
「できませんよね、ビニール手袋なんかしてちゃ。」ライン外のひとりは、途中からビニール手袋をはずして、やっていた。
 ひとりの上司も、ぼくがビニール手袋を付けないでやっているのを、黙認していた。もうひとりの上司は、「おエラ方が来た時だけ、付けて下さい」とさえ言っていた。
 ところがどっこい、「おエラ方が来た時だけ、付けて下さい」と言っていたその上司が、先日突然「付けて作業してもらわないと、困る」と言い出したのである。

 ムレないように、ビニール手袋の下に薄い、汗を吸い取る手袋も用意されていた。つまり、3枚重ねというわけである。ゴワゴワして、細かい部品なんか取れるわけがない。

 で、ぼくは、「これじゃ、できません。」と、いちばん上の上司に言ったのである。
 そうしてぼくは「インマニ工程」から、わけのわからない(これがどういう部品でエンジンにとってどういう作用をする箇所なのか、といった説明もなく)、ただ肉体労働的な、「ラインの中で最も大変な工程」へ回されたというわけである。

 もうずっと風邪をひき続けて休み続けてやろうかとも考えているが、思うように風邪もひけない。
 満了まで、あと4ヵ月もある。
 ちょっと、困ったナ、という今。
 まぁ、この「一番大変な工程」は、ぼくより年上の期間従業員がやっていたし(その人がインマニ工程に行った)、やってできないことはないだろうが、かなりしんどいことは事実なのである。

 今のぼくの支えは、「仕事はどうでもいい」という考え方である。が、どうでもいい仕事で、腰なんかを痛めたくない、というのも本音のところである。
 マイッタ。
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