第5話 JR西日本について

文字数 598文字

 この企業、上下関係の、よほどよくできた会社だったのだろう。
 事故を起こした電車に乗客として2人の運転士が乗っていて、彼らのできた行動は「会社に連絡」→「上司の指示を受け」→「出社」なのだった。

 人間ではない。
 ロボットと化した者たちが、この会社にのさばり、しかし自分のことだけは考えていたのだろう。
 傷ついた人たちなど、どうでもよかったのだ。

 私の働く自動車工場にも、自分のことだけを考えている人は多い。
 もちろん、自分のために働くわけだから、それはそれでOK。
 ただ、横に傷ついてうずくまっている人や、血を流している人がいて、それを無視することができるほど、ヒトはロボ化が進んでいたのか。

 人間と動物の違いは、動物が弱肉強食の世界だとしても、人間は助け合う社会をつくることができる、ということにあるはずだ。

 JR西日本のような会社ばかりではないだろうけれど、1つの大企業が、多くの機械的人間によって成り立っていることを想像してしまう、この事故。

 ごく身近を振り返って、私が安全なクルマを生産する日常にあたり、思うところがある。
 この課せられた仕事内容にムリがあったら、ムリだと上司にハッキリ伝えること。
「自分が仕事ができない人間として映ってしまう」などという心配は捨てる。
 どう見てもムリなものは、ムリなのだ。
 自分の意思を、人にちゃんと伝えること。
 これなくして、安全な車なんかつくれない。
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