第297話 ケータイ・メール

文字数 565文字

先日、先妻から、「元気?」とメールが届いた。
いつも聞いてる気がするけど、とも書いてあった。

中3になった一人娘は、京都に修学旅行に行ったという。
メールをくれた日は、七夕だった。
今日は七夕だね。みんなが、やさしい気持ちになれますように。そうあった。

離婚して8年になるが、いまだにこうしてやりとりできるのは嬉しいし、ありがたい。
お金目当てでないことは知っているし、何の邪念もぼくらはもっていない。

彼女もぼくも、自分自身のことを、よく知っているような気がする。
ぼくらは不登校児であったし、生き方みたいなものが、社会的に極少数派に入る。
おたがいに、自分を基盤に客観的に考えたとき、ぼくには彼女が、彼女にはぼくが、なかなか巡り会えない人間であることを、知っている。

年に1、2回、3人で会うが、そのたびに、先妻が強くなっているのを感じる。
とにかく、元気でいてくれることがありがたい。

離婚して、養育費を払わない男の話を聞くと、少しぼくはムッとする。
ふたりでつくった子どもだろう。
お前が愛した女に、産んでもらった子どもだろう。
どんなにボロボロになっても、男は、女に、子どもを育てるに必要なお金は、送るべきだ。
奥さんの方が収入が上だとしても、ダンナは可能な限り送るべきだ。
そう考えてしまう。

しかしケータイのメールもありがたいものである、考えてみると。
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