第314話 期間従業員日記(38)

文字数 630文字

 会社へ行ってしまえばもう終わったようなものだから、今週もあと1日で終わる、と考えていいだろう。
 しかし夏風邪には参る。
 ぼくの現在の「労働タイマー」は、4時間である。
 午前中の4時間が終わり、仲のいい人たちとメシを食い、午後からまた働き始めると、ドッと疲労している。鼻が乾いて(犬かね)咳が止まらず、呼吸するのが気持ち悪くなる。身体がだるく、生きながら死体状態である。

 働きたくねーなー、と思っている時、やはり支えになるのが、人である。
 昨日食堂で前職場の上司から声をかけられた。ぼくの座っている後ろの席で食べていたらしい。
 思わず、「ああ、Nさん、(ぼくの働く場に)来て下さいよ」と言ってしまう。課が変わってからも、たまに自転車でぼくの働く場に通りかかって、「元気?」とニコニコ声をかけてくれたNさん。
 れいのインマニのインジェクタ問題でも悩んでいた時、よっぽどNさんに相談に行こうと思った。課が違うのがネックに思えた。
「いろいろ訊きたいこともあって…品質のことで。」
「ああ、時間つくって、行くわ。今かめさんどこにいるの?」
「Aさんのところで、ビニールハウスの中でひとりでやってます。」

 いや、やはりこういう上司(上司というより、人としての魅力にやられています、ぼくは)が、課が違っていても、いてくれるというのは、ほんとうにありがたい。
 そう、何かイヤなことがあっても、そのダメージを軽減させてくれるのだ。
 薬をもらうわけでもお金をもらうわけでもないのに。
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