第610話 信頼関係

文字数 394文字

 たとえば、猫の福と僕は、信頼関係を築いていると思うのである。
 福が今何を考えているか、何をして欲しいか、僕には分かる気がする。
 僕はなるべく福の願うものを、叶えたいと思う。
「遊んで」の時は遊び、「ほっといて」の時はほっとく。「ご飯ちょうだい」の時は、ご飯をあげる。

 もちろん福は言葉をしゃべらない。
 でも、分かる「気」がするのである。
 福は福で、あ、今こいつパソコンしてるから邪魔しちゃダメだな、と思って、遠慮してるようなときが、ないでもない。

 おたがいが、おたがいのことを、なんだか分かってるような「気」がする時、信頼関係が築かれているような気がする。
 もちろんそれは気のせいかもしれない。
 だが、おたがいがおたがいのことを想像し、なんだか「思う」時、そこには「気」は、おたがいの間にある。
 ひとりよがりのものではない。

 猫と人間にできて、人間どうしにできないことはないと思うのだが。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み