第152話 村上春樹の本

文字数 626文字

「ノルウェイの森」から入って、文庫化されているものはほとんど読んだ。
 基本的に読み易く、ちゃんとした作者のちゃんとした文章は、読み心地が良い。

 しかし、「ノルウェイ」に僕は何故あんなにも感動してしまったのか。
 あの根底に流れていたのは、生きることのせつなさ、かなしさだったと思う。
 ハツミさんもナオコさんも、レイコさんまでも自殺してしまったのではなかったか。

 最近、「うずまき猫のみつけかた」を読んだ。現在「遠い太鼓」を読んでいる。
 オウム事件に関する「アンダーグラウンド」(だったっけ?)はまだ未読。

 村上春樹の前は、庄司薫が似たような雰囲気の文を書いていた。
「赤頭巾ちゃん気をつけて」から始まる、3部作だか4部作。あれもハマった。
 さらにハマったといえば、太宰。
 しかし庄司薫はその後何も書いておらず、太宰は心中。
 村上春樹の凄さは、どこまでもちゃんと自分を自分として生き抜いているところにあるような気がする。
 そしてそれをさりげなく淡々と行なっているようなところに。

 椎名麟三も、あれだけの思慮深さ、考えに考えて考え続けて、小説やらエッセイを書き、ちゃんと最後は自然死した。
 だから僕は椎名麟三が、ほんとうのところでは好きなのだ。
 今生きている作家では、村上春樹。

 生きざま、人間味、みたいなところでは、瀬戸内寂聴が好きである。
 彼女が言っていることは、うなずけてうなずけて仕方ない。
 下田治美という作家も大好きなのだが、最近、元気なのだろうか?
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