第514話 福とタコ糸

文字数 837文字

 タコ糸を回して遊んでいて、誤って福の顔にぼくの手が当たってしまった、その後の報告です。

 その後何回か、タコ糸で遊ぼうとしても、「暴力のトラウマ」にとらわれた福は、ぼくがタコ糸を回すと怖がって、逃げてしまっていました。
 ですが、昨日、福は、タコ糸を回すぼくの手に怯えることなく、遊んでくれました。いやー、嬉しかったです。

 恐怖心より、遊びたい気持ちが、勝ったようです。

 そんな感じで、人間も、人生、やっていきたいものですネ。

 愛する(!)Nさんからもらったオモチャ(になってる)も、復活。
 やはり、ひとりで遊ばせるより、一緒に遊んだほうが、フェアなように思うのです。
 どちらが飼われているのかわからない関係ですので。

 最近福はまた、夜中に外へひとりで散歩に出かけます。出かけさせます。10分くらい。あまり、させないほうがいいのですが…。外の空気も吸いたいだろうなぁ、と思ってしまいます。気分転換。
 しかし、今のところ福の行動範囲は、このマンション(ここは最上の4階)の2階まで。昨夜迎えに行ったら、廊下の欄干に乗って座っていました。こちらに気づくと、「ニャ」と小さな声で甘えた目。
「はい、福、帰るよ。風邪ひくよ。」抱っこ。
「イヤ~ン」と腕から逃げる福。「はい、上だよ、上。」階段を、昇らせる。
 4階まで来ると、「あっ、ここだ」と思うらしく、タタタと走り、開いた部屋のドアから無事に帰宅する。
 そしてスヌーピーの玄関マットにドタッと横になり、あごを上に向ける。「ここ、撫でて。」
 緊張していたのだろう、外で。
「はい、ご苦労様。いい子だね、福はほんとにいい子なんだよねー。元気でありがとうね、ありがたいねぇ。」
 言いながら、撫でる。
 本人には言葉は理解できないとしても、こう言いながら撫でていると、ほんとに福はずっといい子で、元気でいてくれるような気がする。

 しかし夜のお散歩も、そろそろ終わり。もう、寒くなるからね。
 でもほんとに、あんまり行かせちゃイケナイんだよナ…。うん。
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