第219話 ひとやすみ

文字数 1,384文字

 今書いている「私の不登校体験」は自分でもなかなか重いし、「期間従業員日記」も今日はただただ一生懸命やっていただけなので、今夜はやめる。

 ゴールデンウィークは何だかせわしなかった。
 大阪は難波に友達に会いに行っていた。千葉は柏に別れた妻と子に会いに行っていた。
 ずっと電車に乗っていたような気がする。(新幹線代をケチって、東京まで各駅停車、6時間かけてしまった)
 しかし大阪の難波あたりは、パワーのある街だった。
 昼間からお酒を飲める店がけっこうあったりして(健康的ですね)、それでいて屈折していない。「いいやないですか、飲みなはれ」みたいな雰囲気。

 若いフツーっぽい女の人がカウンターで生ビールやおつまみをひとりでさりげなくやっていたりして、その席からほどよい間隔をあけてどこにでもいるようなフツーのおじさんがひとりで焼酎なんかを飲んでいて、なかなかいい情景でした。

 商店街を歩けば人気の串かつ屋に長蛇の列で、開けっ放しの店先からはやはりカウンターで大勢の客が串かつをハフハフ立ち食いしているのが見えた。
 ぼくらは「金龍ラーメン」1号店へ。これも立ち食いのお店。(なんで立ち食いのお店が多いんだろう? それも老若男女問わず、なんかみんな立って食べている。)

 東京も都心は人が多いけれど、その人の多さから来る空気は、大阪の市心のそれとは別であった。
 東京のそれは、何か病んでいてシュンとしているのだが、大阪のそれは、足を地に着けた生活力のようなものが。したたかに、チャンと生きている、とでもいうような。
 ゴールデンウィークの晴天好日だったせいもあるかもしれないけど。

 千葉の柏も雑踏がひどかった。ここら辺りは、東京でも大阪でもない、単なる雑踏。
 1年ぶりに会った元妻と子と、少し奮発してコース料理のお店へ。
 シャンパンで乾杯して、なんだか食べる。
 何だかんだ8年一緒に暮らしたのだから、自然と和んだ席になる。やはり安心するのだろう。ぜんぶはもちろん知らないけれど、理解し合えている部分はおおいにあるのだ。

 カラオケに行って、歌う。
 料理店で元妻はシャンパンをぐいぐい飲んでいて、大丈夫かなと思っていたら、案の定つぶれた。
 いったん元妻は近所の実家に戻っていった。カラオケボックスに子どもとぼくが残された。
 とりとめのない会話が続きそうだったので、思い切ってあやまった。
 ごめんね、一緒にいられなくて。
 いいよいいよ、と子。

 来年高校受験の彼女に、ぼくの中学~高校時代の話をする。
 中学はほとんど行っていないこと。働いてたら、学校に行きたくなったこと。
 定時制高校で学級委員長やって不良たちとケンカっぽくなってしまったこと。
 中退して、大検受けて大学に行くまで、とにかく一生懸命勉強したこと…。
「あら、歌ってなかったの?」
 元妻が戻ってくる。
 オレの中学あたりからの話、してたんだ。
 あ、それはいい話を聞けたわね。
 子は、うん、と本気でニコニコしていた。
 そういえば、自分の子どもには話してなかったんだナ。今まで、大勢の人たちの前で、自分のことをマイク持ってしゃべってたりしてたのに…。

 東京発の夜行の「ムーンライトながら」に乗るために、夜10時前におひらき。
 豊橋帰宅は午前4時半。
 違法駐車していた自転車に乗って、雨の中。うちの中に入ると、猫が一匹、出迎えてくれた。
ワンクリックで応援できます。
(ログインが必要です)

登場人物紹介

登場人物はありません

ビューワー設定

文字サイズ
  • 特大
背景色
  • 生成り
  • 水色
フォント
  • 明朝
  • ゴシック
組み方向
  • 横組み
  • 縦組み