第32話 またしても眠れぬ。

文字数 550文字

 9時頃寝たのに、11時?0時?頃、猫に起こされてしまった。
 家人が寝る時間帯。
 うちの猫君は、部屋が真っ暗になって、人が寝る態勢に入ると、ニャアニャア鳴き出す。
 寝室のカーテンだか壁だかを爪で引っ掻く音が聞こえる。
 おいおい、何やってんの。
「フク、もう寝るよ。」
「ワーン」
 ニャアではなく、ミャアでもなく、「ワーン」と鳴いた。
 無視していると、淋しそうな声で、ミャ、ミャとか言っている。
 仕方ないなぁ。
 起きて、ダイニングキッチンの灯りをつける。フクはテーブルの上に乗った。
 頭をなでてやると、ブーブーブーブー言い出した。(ふつう猫は「ゴロゴロ」なんだろうけど、こやつの甘える声はブーブーにしか聞こえない)

 しばし、見つめ合う。
 遊んでほしそうだったので、オモチャを取り出す。しかし、こやつはノッてこない。冷静に私を見ている。
「もう寝ようね、フク。」
 私は寝室へ。フクは私のパソコンの椅子へ。
 おとなしくなった。
 さぁ寝よう、としたが、眠れない。私の目はすっかり冴えてしまった。

 キッチンへ行くと、猫は椅子の上に丸くなってスヤスヤ寝ている。
 私はもうあきらめて、缶ビールを開ける。「暴君ハバネロ」(辛いんだナ、これが)の袋を開ける。中島みゆきのCDをかける。
 けっこう幸せだったりするのかな、私は。
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