第234話 期間従業員日記(18)下田逸郎ライブ、再び断念

文字数 915文字

 先週末、職場の飲み会が行なわれた。
 ぼくが以前所属した組の飲み会で、名目は「かめさん、A君の送別、Mさんの歓迎」会であった。
 6時から飲み始め、気がつくと午前3時のカラオケボックスにいた。約9時間、ぼくはひたすらビールを飲み続けたことになる。

 翌朝はひどい二日酔いであった。見かねた家人が、「ソルマック」なるものを買って来て、ぼくの枕元に置いてくれた。ド根性ガエルのCMの、あれである。
 植物に与える栄養剤みたいなビンに入っていて、飲んでみたらスッキリ効いて、とりあえず吐き気は治まった。
 だがせっかくの日曜日、夕方までダウンしていた。

 翌朝の月曜日、6時出社。自動販売機でコーヒー買ってたら、隣りの自販機で飲み会の幹事だったはずの女性がやはりコーヒーを買っていた。
「おはようございます」
「ああ、『ストーカーと呼ばないで』良かったですねえ」(彼女がカラオケで熱唱していた)
「うふふ、いい曲だったでしょう」
「もう、あれが頭から離れなくて…。ああ、そういえば、飲み会の請求受けてないんだけど」
「ああ、かめさんの送別会だったんだから…」
「いいんですかね」

 だがその日の仕事が終わって片付けをしていたら、前職場のKさんが来た。
「どうも。飲み会の会費、9千円です」
 はっ?
「あれ、Nさんに訊いたら、いいんじゃないの、みたいな感じでしたけど…」
「ああ、そうですか。うん、まぁ、いいんですけどね」(どっちなんだよ)

 カラオケは上司のおごりだったから、純粋に飲み代だけで9千円である。冷凍焼けしたマグロが出てくるような店だったのに。
 お釣り、あります? はい。
 また機会があったら誘って下さい。はい、ぜひ来て下さい。
 現ナマのやりとりをする。つくり笑顔。

 しかし9千円は痛い出費であった。これは、本日下北沢であるはずの下田逸郎ライブへの電車代だったのだ。
 ただでさえ、わけのわからん出費のかさんだ5月だったのに…。
 しかし会社の飲み会費は高い。成形部や第2エンジン製造では、ぼくは飲み代は免除されていたのに、第1エンジンはいちいち取る。去年の忘年会も高かった。

 やれやれ、今度のライブは7月の京都か…。
 それまで、生活できてるのかネ、わたしゃ。
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