第528話 人を信じられないって

文字数 780文字

 不登校していた頃は、確かに信じられなかった。この世、あらゆるもの、ぜんぶ。
 だが、親がぼくを容認(せざるをえなかったのだろうとおもう)してから、息がし易くなった。吸える空気が、自分の部屋にあった。家に、酸素ができた。

 こないだテレビで見たのだ。
「クラスの誰も、信じられない」という小学生の、利発そうな女の子の発言。
 教師なんか信じるどころの話ではなく、友達さえも信じられないというのだった。
 いついじめられるか分からない。昨日までの友達が、急に変わる。
 そして、いじめる側に立ったりもする。

 一体全体、何がそうさせるのか?

 人を信じられない、というのは、真実ではある。人を、そんな、たやすく信じちゃいけない。
 でも、「わかる」ことはできる。感じることだってできる。
 感じて、わかることができる。
 それは、信じていいんじゃないかな。
 だって、誰でもない、自分だけなんだよ、感じて、わかることができるのは。

 ぼくの子どもも、「学級崩壊」のクラス、学校に行っていたらしい。
 中学を卒業する来年、子は、好きな吹奏楽の盛んな私立高校への進学を望んでいる。
 元妻は、行かせたいという。ぼくも行かせたいとおもう。

 公立高校の、倍以上かかりそうなカネ。
 まぁ、なんとか、できるかなぁ。という現在。

 好きなことには、信じるも信じないもない。
 好きなことを、やってほしい。それがほんとうだとおもうから。
 好きなことから始まって、そこからつながる人との関係であれば、信じられるだろう?
 自分に、土台をもってくれ。

 翻る。ぼくは、いつも、人に助けられて、生きてきてしまった。
 だから、人を信じられないということ、体感として、よく、わかっていない。
 もちろん、信じられない、と直感した人間からは、ぼくはさっさと退却してしまっていたけれど。

 土台だ。
 土台が、土台だ。

 驕るなよ、オレ。
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